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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

鶏卵業界、カネまみれの政官癒着の闇…「金の卵産む商売」、業界保護に多額税金投入

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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 この「謝罪文」を読んだ冒頭の記者の解説。

「こんなに不誠実な詫び文は初めてみました。まず、収賄罪で起訴されているというのに、肝心の謝罪がまさかの最後。文章の大半が、自分の生い立ちや議員としてのキャリアに費やされていて、読む人から見れば意味不明で、単に感傷に浸っていると見られても仕方ない。しかも、自分が犯罪行為をして起訴されているのを謝罪する文章で政界入りのきっかけをくれた鳩山家の名前を出すなんて、親分筋を大事にする政界の常識からいってもありえません」

 さらに、地元関係者の反応も芳しくない。

「2年半前の心筋梗塞が今回の入院と書いているが、2年半前といえば、吉川被告が農水相に就任する直前だ。病人にあまりこういうことを言いたくないが、そんな病身で賄賂だけはしっかり大臣室で受け取っていたのだから、恐れ入る。ご家族の話も書いているが、こういう文脈で読まされると白々しさしか感じない」

 吉川被告は一連の収賄が疑惑として浮上した先月初めごろから行方をくらまし、マスコミの目から逃れるように突然入院。そして直後に辞職し、今回の在宅起訴に至っている。つまり、一度も国民、有権者の前で今回の件について説明していない。吉川被告は手術後、いまだに入院しているようだが、体調が回復し次第、説明責任を果たす必要があるのは言うまでもない。

西川氏は「金のないブローカー」

 今回の収賄事件については、秋田被告のクルーザーに乗っていた西川公也元農水相と本川一善元農水次官についても追及は及び、政官の癒着が鶏卵業界で存在することが明らかとなっている。西川氏が秋田被告に現職の国会議員を紹介するブローカーとしての役割を果たし、本川氏も畜産行政を所管する生産局長という農水省の本流を歩んでいた有力OBとして、現職の農水官僚に影響力を行使していたとみられる。

 西川氏は今回の収賄罪での立件は見送られたが、「カネもってコーヤ」の異名にふさわしく、これまでもたびたびカネの問題で注目を浴びてきた。「地元栃木の事務所に昔は『役所への口利き10万円』などと書いた料金表が飾ってあった」(栃木の自民党関係者)という話すらまことしやかに語られる、筋金入りの金権政治家だ。

 一方で「汚いカネばかりつかむのは、しっかりとした後援者がいないから」(同)だと地元の人気は低い。西川氏が政治家として最も脚光を浴びたのは、環太平洋連携協定(TPP)交渉だが、「地元に普段ほとんど帰ってこないくせに、報告会で『アメリカとやりあった』だのよくわからない外国人の偉いさんの名前を出して自慢されてもという感じで大変不評だった」(同)。

 西川氏は二階俊博自民党幹事長との関係が近く、今年秋にも予想される解散総選挙で栃木からの出馬をいまだに模索しているとの話も出ているが、「河井夫婦の件といい、吉川のことといい、自民党がカネの問題で叩かれてる時に公認なんて出せるわけがない」(自民党のベテラン議員)。無所属で出ることも考えにくく、78歳と高齢の西川氏の政治生命は今回の一件で断たれたと言えそうだ。

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