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がん保険には入るべき?ケガや病気での就労不能への備え、国の補償と貯蓄だけで十分?

文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役
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「Getty Images」より

 今は元気に働いている方でも、ケガや病気で働けなくなることがあるかもしれません。そんな時、真っ先に心配になるのはお金のことでしょう。仕事ができず、収入が途絶えてしまえば、生活が成り立たなくなってしまいます。

 どの程度貯蓄で備え、どの程度民間の保険で備えるのが正解なのか……。今回は、それを一緒に考えていきましょう。

基本は「国からの給付金+貯蓄」で十分、がん保険は検討の余地あり

 日本は公的保険がけっこう手厚いのは事実です。たとえば、ケガや病気で給料が出ない場合には傷病手当金があります。傷病手当金は、うつ病のような精神疾患も対象になるなど、幅広く活用できます。また、休業補償給付を利用すれば、毎月の賃金の80%が受け取れます。

 これらの給付金を利用しても足りない部分を、貯蓄で補うことになります。民間の保険にも、ケガや病気の際に保険金を受け取れる「医療保険」がありますが、そもそもケガや病気の治療費は健康保険があるため、3割負担で済みます。また、治療費が高額になっても高額療養費制度があるため、経済的な負担はそれほど大きくありません。医療費は貯蓄で備えられます。

 ただし、がんのような大病に対する備えを用意したい場合は、これだけでは心配かもしれません。近年のがん治療は、入院・手術といった治療だけでなく、通院による治療や自己負担で受けられる治療なども出てきており、多様化しています。ただ、これらの費用は、医療保険や公的医療保険では賄えない可能性があります。また、重粒子線治療や陽子線治療といった先進医療の治療費は健康保険の対象外なので、全額自己負担となります。

 これらの費用を保障してくれる保険に「がん保険」があります。がん保険の大きなメリットは、がんと診断された場合に「診断一時金」を受け取れることです。診断一時金は、用途が限定されていない場合が多いため、生活費に充てることもできます。がん保険を選ぶ際には、診断一時金が用意されている商品を選ぶとよいでしょう。

 診断一時金給付タイプのがん保険なら、本稿執筆時点では、FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドアルファ」がおすすめです。

 また、公的年金では高度障害になった際に「障害年金」を受け取れます。障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取れる年金です。国民年金加入者は障害基礎年金、厚生年金加入者は障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受け取れます。

 もらえる金額は障害の等級によって異なります。原則として、障害の原因となった疾病の初診日から1年6カ月経過後(障害認定日)に障害の程度を決定します。1級障害と認定された場合は、本来の老齢基礎年金・老齢厚生年金の1.25倍の金額が受け取れます。

iDeCoと小規模企業共済は、もしもの時にも役立つ! 

 以上を踏まえて、働けなくなったときのリスクのために活用すべき制度は、会社員・公務員の方はiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)、フリーランスの方は小規模企業共済です。iDeCoは老齢給付金に限らず、高度障害になった際には給付金を受け取れます。

・iDeCoの「障害給付金」【会社員・公務員向け】…iDeCo の掛金は、原則として60歳になるまで受け取れませんが、一定以上の障害状態になった場合は、60歳前でも障害給付金として受け取れます。障害給付金は一時金で受け取っても年金で受け取っても非課税ですが、受け取れる金額はそれまでに運用してきた資産の分だけで、特に上乗せはありません。なお、障害給付金の受け取りを始めると、以後は掛金の拠出ができなくなります。

・小規模企業共済の「共済金」「解約手当金」「貸付制度」【自営業・フリーランスのみ】…小規模企業共済は、自営業・フリーランスの退職金制度ともいわれる制度です。小規模企業共済を6カ月以上積み立てると、廃業した際に積み立てた金額に応じた共済金を受け取ることができます。さらに、12カ月以上積み立てれば、解約手当金を受け取ることも可能です。積み立てた掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になります。

 小規模企業共済では、貸付制度を利用することで、緊急時に銀行よりも低金利でお金を借りることができます。病気やケガなどで働けない場合はもちろん、設備を増やしたい場合の資金調達にも使えます。

 これらの制度への加入と貯蓄に加え、さらに保険で保障を厚くしたい場合に限り、「就業不能保険」という選択肢があります。

 就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合の治療費や、働けなくなった期間の収入を補ってくれる保険です。就業不能保険に加入して毎月一定額の保険料を支払えば、指定の傷病や障害の際に一定期間、保険金を受け取れます。

 商品によって、保険金を受け取れる期間が異なったり、受け取る条件が異なったりする場合があるので、加入前に確認しましょう。
(文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役)

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頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力すると同時に、月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha』や登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

Twitter:@@yorifujitaiki

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