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接触確認アプリ「COCOA」で不具合続出…なぜ厚労省アプリは質が悪い?国民にも問題

文=編集部
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新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」

 新型コロナウイルス対策として厚生労働省が昨年6月から提供している接触確認アプリ『COCOA』で、深刻な不具合が続発している。

 本来、アプリをインストールしていれば、新型コロナの陽性者と「おおむね1m以内の距離で15分以上の近接した場合」に通知が来る仕組みだが、なぜか情報が勝手に初期化され、陽性者と濃厚接触している人に対しても通知されない不具合が確認されている。厚労省は、この不具合を確認しており、早期に改善すると発表している。

 実は、このCOCOAについては、提供当初からさまざまな不具合が報告されている。急拡大する新型コロナ対策として、見切り発車だった感はあるにせよ、あまりにもお粗末なバグが少なくない。たとえば、陽性者との接触を知らせるプッシュ通知を受け、アプリを開いてみると接触が確認されないといった不具合があり、昨年9月にアップデートされたが、その後も同様の不具合が続いた。逆に、何度も陽性者と濃厚接触があり、それぞれにCOCOAをインストールしていたにもかかわらず、アプリ上では接触が確認されないという事例もある。

 COCOAで感染拡大を防ぐことはできないにしても、厚労省肝入りのアプリとして開発され、大臣が国民に対してインストールを呼びかけるなど、政府を挙げて推進してきた事業としては稚拙すぎないだろうか。

 また、厚労省が提供しているアプリはほかにも、『EMIS(広域災害・救急医療情報システム)』『ねんきん情報アプリ』があるが、いずれも評判はすこぶる悪い。たとえば『ねんきん情報アプリ』は、年金に関する情報を短い漫画で説明するだけで、詳細を調べようとすると厚労省などのHPに飛ぶなど、特別な機能はほとんどない。「今どき、子供でも作れるレベルで、アプリとして配布する必要性を感じない」など、インストールした人たちからは酷評されている。

 なぜ、厚労省のアプリは質が悪いのだろうか。スマホ評論家の新田ヒカル氏は、問題点は大きく2つあるという。

「まず、国に対する監視の力が弱いということが挙げられます。監視には国民の目とメディアがありますが、国民の国への監視はシビアではないですし、メディアも報道の自由度が低く、発信力は強くありません。

 また、戦後間もない頃の官僚は能力が高かったものの、高度成長期以降の官僚は保身に走り、新しいものを生み出す力が低くなっています。国民としても、“お上”に頼るメンタリティが染みつき、自分たちで問題解決を図ることができなくなっているのではないかと思います。

 そうして役所の仕事は効率やスピードが求められないため、質の高い製品を生み出さなくてはならないという危機感も持たないまま開発が進むという悪循環になっているのではないでしょうか。特にそれはITの分野で顕著に表れています」

COCOAをインストールするインセンティブが働かないワケ

 COCOAは、インストールする人が多いほど効果が高まるが、ダウンロード数は現時点で約2430万人と、十分とはいえない数だ。性能の低さ、機能の少なさ、セキュリティの甘さなどが指摘され、インストールしない人も多い。

「機能の弱さは、個人情報の保護などさまざまなことを“配慮しすぎた”結果だと思います。韓国、香港、台湾など、ある程度コロナ対策で結果を出している国・地域は、強権を背景に施策を推進しています。COCOAは中途半端になっており、インストールするインセンティブが働いていません。現実的には難しいですが、国民全員がスマホを保有してアプリをインストールするといった状況になれば、高い効果を得られるでしょう。

 また、アプリを入れている人は優先的にPCR検査やワクチンを優先的に受けられるようにするなど、インセンティブを付加することでインストールする人を増やせると思いますが、そういった施策もありません」

 COCOAのソースコードはオープンになっているため、誰でも見ることができる。日本中のプログラマーたちが結集すれば、不具合は簡単に解決できるのではないだろうか。

「もちろん、不具合を改善するだけであれば難しくはないと思いますが、そもそも国民がCOCOAにあまり期待していないのではないでしょうか。総理大臣が『これで新型コロナの感染を抑えるんだ』という強い意志を示していないので、開発者たちにも国民たちにも本気度が伝わっていないと思います」

 厚労省はCOCOAについて「利用者は、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した可能性が分かることで、検査の受診など保健所のサポートを早く受けることができます。利用者が増えることで、感染拡大の防止につながることが期待されます」と説明しているが、利用者が増えないため、あまり感染拡大防止につながっていないのが現状だ。

 今後、政府は広報活動を活発化させるとしているが、さらにCOCOAの性能アップや陽性者が判明した後の保健所・医療機関との連携などを充実させて、感染拡大防止の効果を高めてほしい。

(文=編集部)

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