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木下隆之「クルマ激辛定食」

BMW・新型4シリーズ、なぜ日本で不評な外観に?エンジンフィールは極めて上質&滑らか

文=木下隆之/レーシングドライバー
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BMW・新型440i

 新型BMW・4シリーズは、より一層、人の目を惹くデザインとなった。最大の特徴は、一段と迫力を増した「キドニーグリル」だろう。BMWの伝統的アイコンであるキドニーグリルが巨大化しているのは、中国マーケットを意識してのデザイン戦略だと噂されている。

 中国人の趣味嗜好は、存在感のあるフロントマスクに片寄っている。平たい言葉で言えば「偉そう」が好みであり、リアにはいかにも高級車らしい独立したトランクが求められる。コンパクトモデルであっても、ハッチバックより3ボックスが人気なのは、それが理由だ。世界最大の自動車市場でありながら、まだ自動車文化的には発展途上にある中国では、クルマはまだステータス的存在であり、成功者であることを誇示する道具でもある。ゆえに、威圧感のあるルックスが支持されるのだ。

 BMWも、そんな中国マーケットを意識せざるを得ない。中国市場でのBMWの販売台数は、2019年で72万3000台である。前年比13.1%の増加で、今後も飛躍的伸びが期待されている。一方、日本の販売台数は約4万6000台。圧倒的な差があり、中国人の好みを優先するのは道理。巨大なキドニーグリルに関しては侃々諤々、賛否両論囁かれており、日本ではネガティブな反応も少なくないが、販売台数を知れば納得せざるを得ないだろう。

 ともあれ、新型4シリーズは、確実に進化している。全長は4775mm、全幅は1850㎜、全高は1395㎜。先代に比較して全長で128mmも長い。全幅は27mmワイドであり、全高も6mm高い。ホイールベースも41mm延長された。全体に車格感が増しているのだ。

 搭載するエンジンは、日本仕様として2種類。直列6気筒3リッターツインターボと、直列4気筒2リッターツインターボである。試乗したのはハイパワー仕様の440iであり、スポーツフィールを研ぎ澄ましたMスポーツ仕様である。

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 まず驚かされるのは、とても滑らかなエンジンフィールであることだ。BMWの直列6気筒ユニットは、絹のように滑らかな回転フィールであることから「シルキーシックス」と称されてきたが、そんな手垢のついたフレーズを改めて文字にしたくなるほど、回転が上質なのである。

 イグニッションスイッチを押した瞬間に、小さな何かが爆発したかのような音を伴ってエンジンは目覚める。アイドリングとともにエキゾーストサウンドは静かに落ちつくのだが、まずは吠えて見せて、すぐに安定するのが特徴である。

 その滑らかさは秀逸で、ハイウェイクルーズしている限り、エンジンの存在は希薄だ。最高出力は387psもあり、最大トルクは500Nmにまで達するから、アクセルペダルを床踏みすれば相当な速度域まですぐさま達する。だが、その過程においても所作は紳士的であり獰猛な感覚は薄い。キドニーグリルは派手になったものの、性格的にはジェントルマンなのである。

 SUV(スポーツ用多目的車)やミニバン隆盛の現代において、居住性や荷室に制限のあるクーペは、こと日本においては主流ではなくなっている。とはいうものの、走りのバランスは整っており、走りの爽快感を呼び戻してくれるのだ。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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