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木下隆之「クルマ激辛定食」

日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発

文=木下隆之/レーシングドライバー
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日産自動車・新型「ノート」

 日産自動車の新型「ノート」が話題を独占している。というのも、単純な環境性能や操縦安定性、あるいは安全性能だけではなく、クルマとして失ってはならない、人との親和性と、それへのアプローチが注目されているのだ。

 ノートに搭載されているパワーユニットは「e-Power」である。内燃機関が駆動輪に直結することなく、あくまで発電機として機能するにすぎない。エンジンがガソリンを燃やすものの、そのパワーで電力を蓄積、バッテリーに蓄えた電力で駆動するのだ。つまり、走りはEV(電気自動車)そのものなのである。

「プロパイロット」も装備可能だ。高度な運転支援技術である「プロパイロット2.0」ではないものの、コスト制限のあるコンパクトモデルとしては贅沢な装備だ。そのぶん価格は跳ね上がるものの、安全を変えることは悪いことではない。

日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発の画像2 このように、環境性能や安全性能にも熟成の跡がうかがえるだけではなく、クルマとしての本分である、人間へのインターフェイスにも力を入れているのだ。

 日産では、「高品質感活動」と命名している。ユーザーがクルマに近づき、乗り込み、運転し、そして降りるまでの間で体感する感覚にこだわったのだ。そのなかでも特に力を入れたのは、触感と操作音だ。

日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発の画像3 代表的なのは、ドアの閉まる感覚である。ドアを閉じるときの質感を「官能評価項目」と「代表物理特性」に分類。「官能評価項目」として高品質に感じるポイントを、「重厚」「収まりのいい」「ガチャつかない」「適度な大きさ」としている。「代表物理特性」ではそれを「低周波成分」と「収束時間」「高周波分量」と「ラウドネスレベル」でアジャストしているのだ。平たく言えば。低い音で適度な重みを感じながら吸い込まれるように閉じる、ということになるのだろう。

 そのためには、細部までのこだわりを見せる。ドアはストライカーという突起をクローが噛み合うことで成立する。クローがストライカーに当たる瞬間の第一打撃音を抑えている。さらには、クローが一旦、ストライカーを噛もうとする瞬間のストロークを少なくすることで収まりを良くしているのだ。これまでも、すでにこのような細工をしてきたであろうが、ここにきて体系的に整えたことがポイントだろう。

日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発の画像4 新型ノートでは、「情報提供音」にもメスを入れた。シートベルト非装着の警告音や、半ドア警告音など、危険を知らせたり、運転をサポートしたりするサウンドを情報提供音と呼ぶ。あの「ブー」であったり、「ピンポン」と響く情報提供音を、バンダイナムコ研究所のサウンドクリエーターと共同で開発したというのである。

 障害物が迫っているような緊急度が高い場合にはハイテンポで周波数の高いサウンドが響き、緊急度の低い、つまりリバース音やウインカーの作動音は穏やかでいい、といったように、電子音を整えたのである。

日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発の画像5 そのために、新たにダッシュボードにスピーカーを埋め込んだ。実際に新型ノートは、聴覚にさえ情報を提供してくれた。メーター内のランプを目視せずとも、クルマの状態が判断しやすくなった。EV化と安全運転支援に積極的な日産らしい取り組みだと思えた。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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