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1日夜、菅首相の緊急事態宣言延長の表明は、なぜ“なくなった”のか?銀座クラブ問題か

文=編集部
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首相官邸公式サイトより

 菅義偉首相は1日夜の時点で、なぜ具体的な方針を表明しなかったのか。新型コロナウイルス感染症の拡大防止を意図して1月7日から2月7日まで約1カ月間の期限で発令されていた緊急事態宣言は2日、正式に延長が決定されることになった。一方で一部報道によると、菅首相は1日夕から夜に、今回の延長に関し具体的な延長方針を記者団に語る予定だったいう。実際、同日午後9時20分ごろには一部ニュースサイトから「菅首相の会見を中継」という通知が送信されるなど注目を集めていたのだが、あまりの内容のなさに会見動画の配信が見送られたる事例も出たようだ。

幻となった「1日夜の緊急事態宣言延期方針の表明」

 首相官邸が公表している首相動向によると、菅首相は1日午後8時半から官邸で西村康稔経済再生担当相、田村憲久厚生労働相、赤羽一嘉国土交通相らと会談し、宣言延長に関する政府方針に関して詰めの協議を行っていた。

 NHK NEWS WEBは1日午後9時15分、記事『緊急事態宣言 菅首相らが会談 首都圏や関西圏延長の方向で調整』を配信。「菅総理大臣は、このあと記者団の取材に応じる予定で、宣言を延長する場合の対象地域や期間について、どこまで踏み込んだ説明をするのかが焦点となります」と伝えており、直後に菅首相による何らかの説明があることを予期する内容だった。

 これに先立ち、TBS NEWSは1日午後1時27分、記事『菅首相 緊急事態宣言延長の方針を自ら表明へ』を配信。「今月7日に期限を迎える緊急事態宣言をめぐって、菅総理は1日夕方、関係閣僚らと協議し、宣言を延長する方針を決めます。(中略)菅総理は1日の閣僚らとの協議で宣言を延長する方針を決め、その後、自らこうした方針を表明する見通しです」と報道した。大方のメディアが関係閣僚との協議の後に、菅首相本人から延長方針の説明があると認識していたことが窺える。

 では、関係閣僚との協議後に行われた菅首相の会見はどうのようものだったのか。首相官邸公式サイトから以下、引用する。なお官邸公式サイトに公開されている質疑が、1日のいつ行われたものかに関する記載はない。そのため、当サイトが内閣広報室に問い合わせたところ、1日午後9時半に行われた質疑の内容であることを確認した。()は記者の質問。地の文は首相の答弁だ。

「(緊急事態宣言の延長について)

 冒頭申し上げましたように、感染者数は皆さんも発表で御承知のとおり減少傾向にありますけれども、まだ警戒は要するだろうと、こういうふうに思ってます。いずれにしろ、明日の専門家の皆さんの諮問委員会の決定を踏まえた上で対応していきたい、このように思います。

(中略)

(緊急事態宣言の延長について(再))

 明日、先ほどから何回も申し上げてますけど、専門家の皆さんによる諮問委員会、ここの決定を踏まえた上で、私どもは考えたいとこういうふうに思ってます」(原文ママ)

松本純氏らの銀座クラブ通い問題が会見内容に影響?

 一連の顛末に関して、在京キー局記者は語る。

「え、なんもないの! という感じでした。実際、首相官邸や自民党幹部など複数の筋から、夜の囲み会見で首相から宣言延長に関する見解が示されるという話だったので、うちだけではなく泡を食った局もあったのではないでしょうか。

 テレビ局はもちろん、共同通信や時事通信の配信を受けている地方紙は、首相談話のために紙面を開けている社もあったようです。あの囲み会見では実質ゼロ回答と言っていいと思います。2日発表になったとしても内容は変わらないので、1日夜の囲みで表明する必要はないのかもしれません。しかし、実際問題として宣言延長は既定路線ですし、国のトップとして基本方針を表明するだけのはずで、なぜあのタイミングで表明しなかったのか疑問は残ります」

 自民党若手衆議院議員秘書は次のように一連の背景を推測する。

「総理は1日夜の囲みで、田野瀬太道文部科学副大臣の更迭に言及せざるを得ない非常に厳しい状況でした。この日は離党することになった松本純さん(編集部注:元国家公安委員会委員長、麻生派)と一緒に銀座のクラブ通いが発覚した党国会対策副委員長の大塚高司さんと田野瀬さんが役職を更迭されました。

 さらに緊急事態宣言の延長方針を表明するのは、マイナスイメージを重ねることになります。緊急事態宣言の延長は、どのような表明の仕方でもマスコミに突っ込まれるのは目に見えていますからね。専門家会議の皆さんの話も踏まえ、慎重に慎重を期したかったということもあるでしょう。

 いずれにせよ松本さんは麻生太郎副総理兼財務相の側近中の側近ですから、今回の処分にあたり党内でいろいろな調整をせざるを得ず、総理もお気持ち的にいっぱいいっぱいだったのでしょう。

 党上層部では、松本さんたちの一件が想像以上に世論の反発を招いたことに、心底驚愕しているようです。ここにきてダメージコントロールに神経を使っています。公明党の支持母体である創価学会婦人部も激怒しているという話もありますし、現にそうした反発は地方選挙で表明化しはじめています。

 1月31日に行われた埼玉県戸田市議選で公明党の候補者を下して、スーパークレイジー君が当選してしまうような信じがたい状況ですからね。総理も含め、党内の誰もが次の選挙に不安感を抱き始めていて、いかに国民にマイナスイメージを与えないようにするか腐心しているのは事実だと思います」

 永田町界隈では、良い意味でも悪い意味でも「菅さんは官房長官時代のほうが、キレがあった。会見もうまかった」との評が定着しつつある。新型コロナ感染症と途絶えることのない自民党内の醜聞に対し、菅首相が官房長官時代と同等の“キレ”を見せる日はいつになるのだろうか。

BusinessJournal編集部

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