NEW

時短営業より深刻な“安すぎる問題”に苦しむ飲食店のジレンマ…間違いだらけのブランド戦略

松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター
【この記事のキーワード】

, , , ,

 サービスが二の次になり、低価格な商品を多くのお客さんに効率よく提供する飲食店が増えた結果、業界全体の単価が安くなり、薄利多売の事業となってしまったのです。

飲食店は「味」より「サービス」で勝負すべき?

 続いて、飲食店のブランディングで気をつけるべきポイントについて説明します。はじめに伝えたいのは、飲食店を含めたサービス業のほとんどは「商品を売りにしてはいけない」ということです。ブランディングの基本的な理論や考え方は同じなのですが、手元にモノが残る場合と残らない場合とでは、軸にするものが違うのです。

 たとえば、iPhoneやインテリアなどの製品は手元に残り、使うたびに価値を感じることができます。しかし、フードやドリンクのような「消え物」は、食べたり飲んだりしたらなくなってしまいます。

 飲食店がお客さんに提供できる要素には、「味」「体験」「接客」の3つがあります。そして、最も大切なことは「食を接点にして何を提供できるのか」ということです。中には「味」だけで勝負する飲食店もありますが、実際にはごくわずかです。また、再現性は低く、事業継続や拡大する前に経営が行き詰まってしまう可能性が高いでしょう。そのため、飲食店のブランディングは「体験」「接客」などのサービス部分を軸にするのが正しいと言えます。

 では、どんなサービスでお客さんをおもてなししたらいいのでしょうか? まず、お店に来てくれたお客さんを席へ案内する、ご飯を提供する、会計をする、といった一連の作業はサービスとは言いません。ご飯を食べるだけなら、スーパーやコンビニで好きなものを買って、家で食べればいいのです。食事の準備や配膳も、誰だってできます。

 また、不要不急の外出自粛要請が出されている今、ご飯を食べるためだけに飲食店に行くという人は少なくなってきていると思います。自宅とは違う空間で、リラックスしながらご飯を食べたい。在宅勤務での気疲れを癒したい。次の仕事に全力で向かうために、食事と気分転換を兼ねたい。そういった理由で飲食店に足を運ぶ人が増えているのではないでしょうか。

 飲食店はどんなサービスを提供すべきか。その答えとなる5つのポイントや、これからの時代に求められる飲食店については、次回ご説明します。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

情報提供はこちら
RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合