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メンタル不調の40代一人暮らし女性が心理カウンセラーに聞いた「上手なストレス解消法」

文=小川隆行/フリーライター
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「gettyimages」より

「仕事をクビになった」「テレワークで夫婦仲が悪くなった」「女性の自殺が増えた」……これでもかというぐらい、ネガティブな報道を目にする。人々から仕事を奪い、家庭内の不和をつくってきたコロナ禍は、1日も早く終わってほしいものである。

 人間は悩みすぎるほど、悪循環のループから抜け出せなくなる。それを自覚した40代の女性は、簡単なことから日常を変えてみた。すると、自然とモチベーションが上昇し、自分が明るくなっていることを自覚したという。以下は、その女性が話してくれた言葉をそのまま記したリポートである。

ストレスフリーのはずなのに不調

 一人暮らしの私は、好きなときに好きなことをして、誰にも邪魔されない日々を過ごしてきた。それは快適で、本当に楽しい日々だった。昔からの仲間と好きなことに熱中しつつ、バーベキューをしてみたり、競馬にチャレンジしたり、憧れの田舎暮らしを実行すべく、いろいろな地方に足を運んでもみた。

 しかし、初めての緊急事態宣言から半年が経過した昨秋から、何となくストレスを感じ始めていた。はっきりと自覚したのは師走で、わけもなくイライラしている。当初は月の半分を過ごそうと思った地方行きも、都会人の訪問は迷惑ではないかと感じると、連絡をすることさえためらった。

 コロナ前は気軽に飲みに行けた。友人とも昼間にお茶をして、楽しい時間を過ごしていた。しかし、「夜8時以降の不要不急の外出自粛」という文字が目に飛び込んでくると、友人との食事=女子会も、なんとなく気が引けてしまうようになった。一人暮らしの私は家庭内感染などの心配はないが、友人の家族が感染したら大変だ。そう感じると、自然と連絡をしなくなった。

 数年前、会社の人間関係でストレスフルになったときのことが脳裏に蘇った。リモートワークになって通勤から逃れられ、煩わしい職場の人間関係によるストレスも確実になくなっている。ストレスフリーのはずなのに……何が違うんだろう。ふとしたときに気づいた。「そういえば私、人と話していない」。

 主婦の友達が多い独り身の私としては、リモートワークの旦那さんが家にいることでライフスタイルが変わった友人に、今までのように気軽に話そうとは思えない。やはり気が引けるし、相手も気兼ねするだろうと推測してしまう。遠慮して話すタイミングを失った結果、こちらのストレスが蓄積されてくる。

「私は人と話すことで自分のことを鑑みて前に進むタイプで、話してない今は自分の考えに固執するか、変に独りよがりになっている。とても嫌だ」

 こんなことをパソコンに書いたとき、SNSを始めようかとも思った。上辺だけで素性を知らない友人との自然な会話なら気兼ねしないが、それをする気力すら沸いてこなかった。

 beforeコロナもさびしさはあったが、人と会えないことはなかった。今思うと、誰かと会うことで温もりを感じ、ひとりでいるときのさびしさを紛らわしていたのかもしれない。職場に嫌な同僚がいても、人と人の中にいるだけで安心感があった。そう感じるほど、落ちていた。

「人との接触を避ける」という生活様式が推奨され、私自身もコロナが怖いから人と接することに躊躇するようになった。しかし、一方で「心を通わせたい」「わかり合いたい」との思いが強くなっていった。

心理カウンセラーの有益なアドバイス

 そんなとき、芸能人の自殺報道の中で電話相談があることを知り、実際に電話をかけてみた。話し相手となってくれた心理カウンセラーは、次のような内容を話してくれた。少し長いが、ここまでの内容にシンパシーを感じた人は熟読してほしい。

「心理学では、人とのトークにはカタルシス効果があると言われています。カタルシス効果とは、対処困難な衝動・欲求・感情、あるいはその葛藤などを、言語的または非言語的に表現し意識化、発散することで、症状や問題行動が消失する現象です。無意識の中に抑圧した感情や記憶をそのままにしておくとストレスも溜まっていき、悪循環の輪に陥るとテンションは下がりっぱなしですが、意識化することで軽減されます。

 男でも女でも若い人でも高齢者でも、人間とは苦痛を発散、解消することができないと、身体の不調、暴力や自殺などの行動現象、不安などの心理現象といった問題が少なからず表れます。そうならぬよう、他人と話して言語化をすることはとても大事。特に相手の感性を上手に吸収できる人は、相手のポジティブさに引き込まれて気分が良くなっていきます。

 だからかな、私は一緒にいて気持ちがいい人とのトークに時間をかけてきました。そうすることで、笑顔が絶えなくなり、周囲も気の置けない人間ばかりになったんです」

 そして、次のような助言をくれた。

「私は自分のストレスを自覚したとき、次のことを実践してみました。朝起きたら外に出て、30分ほど歩く。そうすると、外の天気と同じく、私自身も明らかに心が晴れてきたんです。今思えば、脳内にドーパミンが増えて、その効果でテンションが上昇した気がします。このとき、すれ違う人に笑顔で『おはようございます』と声をかけてみたら、少しずつ元気が出てきました。

 帰宅して朝食を摂った後、YouTubeで大好きなシンガーの曲を聴きながら、実際に口ずさみました。7曲前後で合計30分ほど歌った後、お気に入りの和尚さまの悩み相談を見ました。仏教の考え方に基づいて話をしてくれるので、捉え方や考え方が広がり、私の叡智になるのです。まさにインプット効果ですね。

 質問したいとき、普通はYouTubeのコメント欄に書き込むのでしょうが、私はペンを手にして紙に書いたり、録音するなどして、いったん言語化してみました。気がつけば、声のトーンを変えたりしています。『私は声優か!』とセルフ突っ込みしながら(笑)。

 起床から2時間後、『私の悩みを聞いてほしい相手って誰だろう』と考え、頭に浮かんだ友人に思い切って電話をしました。人間は話すことでカタルシス効果を得やすいため、遠慮なく電話したんです。朝から外に出たことで、自分でも勢いづいていたのでしょうね。タイミングが良かったのか、親友とのおしゃべりは2時間も続きました。これが、アウトプット効果です」

 心理カウンセラーの方からのアドバイスを書いた紙を手にしつつ、私は壁に次のような標語を貼ってみた。

朝目覚めたら
颯爽と外に出て挨拶する
身体を動かす効果を感じたら
楽な気分で歌を唄い
他人の話に耳を傾ける
脳天気を意識しながら
親しい友に電話をして
苦しみにサヨナラ

 文章を縦読みしてほしい。「あさからたのしく」――こんな単純なことをテレワークの前に実践したことで、「今日はいい顔をしているね」と画面越しに言われることが多くなった。

――簡単な実践で、人間は元気になれる。そう気づいた彼女は、私にも明るい笑顔で話してくれた。

(文=小川隆行/フリーライター)

小川隆行/フリーライター

小川隆行/フリーライター

ライター・編集者。1966年生まれ。中山競馬場の近くで生まれ育ち、競馬場から徒歩5分の高校時代に競馬に目覚めて馬券買いを始め、ダイナカールに恋をする。拓殖大学卒業後、競馬雑誌編集者になり数多くの調教師、騎手、厩舎関係者、競馬予想家に取材を重ねてきた。主な著書に『アイドルホース列伝 1970ー2021』(星海社)などがある。

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