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むぐら氏の記事では、開示請求された原本や同氏の解説もアップされているのでぜひ参照してほしい。同サイトで公開されている「再委託変更申請書・承認通知」によると、アプリの開発は当初FIXERが担っていたが、上記変更でエムティーアイが追加されたようだ。同社はアプリ開発の一部とリリース後のヘルプデスク、運用保守業務を担当することになったが、委託費は1615万円だった。
しかも、さらにその業務の一部を再々委託することになったのだという。「国民の健康を守る」という重要な目標を掲げたアプリなのにもかかわらず、責任の所在がわからない複雑な開発・運用体制になってしまっているように見える。また上記のような事業費の配分が適正だったのかに関しても疑問は残る。
「Go Toトラベル」関連事業の4次下請けのIT企業に勤めているシステムエンジニアはむぐら氏の記事について次のように語る。
「そうだろうね、としか思いません。国から委託を受けた超有名企業が、委託、委託を繰り返した結果、我々のような末端技術者は、ボランティアに近い金額で開発していますよ。
ある意味、COCOAはわかりやすい多重下請け構造ですが、この手の開発体制による“中抜き”が問題視されるようになった影響で、最近ではさらに複雑かつ巧妙な受注形態も散見されるようになりました。
例えば、政府・自治体からコロナ関連の1億円の事業があるとします。いつもは公共事業の元請けを務めている大手企業のA社から、この事業を受けるように指示があり、我々が元請けとして事業を受注します。その後、我々はA社に5000万円で業務を再委託します。いわゆる『仲介料』というやつです。ちなみにA社に対する再委託ですが業務実態はありません。つまり1億円でやるべき事業を我々は5000万円でやることになるのです。これっておかしくないですか?」
政府による「ハコもの」関連の公共事業などでは元請けのゼネコンが相当額を抜いたうえで3~4次下請けの建設・土木企業に再委託、再々委託することが恒常化している。果たしてCOCOAの発注・開発体制に問題はなかったのだろうか。スマホ評論家の新田ヒカル氏に問題点を聞いた。
新田氏の解説
COCOAの開発体制にはいくつもの問題点はありますが、まず一点目としてあげるのであれば責任の所在が不明確なことです。
国が発注する場合、具体的に発注者である厚労省側のプロジェクト管理責任部署や責任者の名前を明確にするべきだと思います。