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池上彰氏、テレビで誤った解説?自民党内から批判…「トランプは中国の人権問題に無関心」

文・構成=編集部

 番組の放送内容の真偽に関する批評はあってしかるべきだが、池上氏個人に対し「キャスター失格」「無知」と攻撃するのは穏やかではない。池上氏が放送内容や番組内のコメントに関して一定程度の責任を負うとしても、司会者の池上氏本人がすべてを取材しているわけではないだろう。ましてや、キー局のニュースキャスターが自ら取材現場に赴く例は、残念ながら多くはない。一般論として、番組スタッフの取材や収集資料を踏まえて放送をしているのだから、ファクトチェックは局の責任だと考えるのが妥当だろう。

米トランプ前政権は人権を外交カードとして利用

 実際、トランプ政権は「人権」をどのように考えていたと見ればいいのか。外務省のある在外公館関係者は次のように語る。

「トランプ前大統領の外交政策に関しては、世界中でいろいろな意見があります。いずれにしても、政権として関心があったのかということと、トランプ氏個人が興味があったのかは別に考える必要があると思います。

 一番わかりやすい事例は2018年6月19日、トランプ政権が国連人権理事会からの脱退を表明したことでしょう。国際的な人権擁護の枠組みから脱退するという点だけ見れば、トランプ政権は人権に興味がないように見えます。しかし当時、ポンペオ前国務長官は脱退の理由を『イスラエルに対する恒常的な偏見があり、中国やロシアなど人権侵害国が理事国になれるような仕組みが問題だ』と主張していました。

 つまり多国間協調主義による活動はせず、米国単体の外交戦略として人権問題を取り扱うというのが、トランプ前政権の基本的なロジックだったのではないかと、個人的には思います。

 新疆ウイグル自治区の人権侵害に関しては今年1月19日、退任間際だったポンペオ前国務長官が『ジェノサイドに認定する』との見解を示し、バイデン新政権の国務長官のブリンケン氏もこれに同意すると一部報道(1月26日付、日経新聞インターネット版記事『ウイグル 米中の新たな火種に(The Economist)』)でも出ています。

 ウイグル問題など特定の外交分野以外で、トランプ前大統領個人が人権問題に熱心だったのかどうか、自伝でも出版されなければわかりません。ただ、ポンペオ前国務長官をはじめとする米外交当局は、現実主義的外交戦略の一環として、一連の人権問題を対中国、対ロシアの重要なカードとして位置付けていたことは間違いないと思います。

 世界各地で今も続く人権侵害は、歴史的な背景や見方によって、構図が変わるものが多々あります。例えば、ある国の民族紛争で特定の民族が迫害されていることを理由に、大国が介入に乗り出し、別の民族が迫害されることになったという事例も歴史上、枚挙にいとまがありません。難しい問題です」

テレ朝「人権問題に深くコミットしてこなかったのではないか」

 今回の放送内容に関して、テレビ朝日広報部は8日、Business Journalの取材に対し、次のように回答した。

「今回の放送は、トランプ前大統領の4年間をみると、人権問題に深くコミットしてこなかったのではないか、という趣旨を述べたものです」

 ホワイトハウスを去っても、トランプ前大統領が残した各種論争の火種は当面、消えそうにない。

(文・構成=編集部)

 

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