実際、住宅金融支援機構の調査によると、民間金融機関の貸出債権の平均返済期間は図表2にあるように、27.0年です。なかには30年、35年の返済期間の人もいますが、実際には25年超30年以下の返済期間が44.4%を占め、最も多くなっています。

住宅ローンは平均すると16.0年で完済されている
しかも、完済までの平均経過年数をみると、16.0年となっています。平均27.0年で組んで、実際には16.0年で完済しているわけです。もちろん、こんなに短くなっている背景には、住宅ローンの借換えによって当初のローンを完済している人がいますし、買換えによって、やはり以前の住宅ローンを返済している人もいるでしょう。
でも、地道に繰上返済などを繰り返して、早めに完済している人も少なくないはずです。図表3にあるように、2年ごとに200万円ずつ繰上返済すれば9回目の繰上返済によって残りの返済期間は1年7カ月になって、当初からすれば20年以内に完済できる計算です。さらに頑張って500万円ずつ繰上返済すれば、5回目の繰上返済後の残高は約368万円ですから、6回目の繰上返済で残高ゼロにできます。返済スタートから12年でローンを完済できることになります。
決して簡単ではないでしょうが、住宅ローンを組んでからも家計管理を徹底して、繰上返済によってできるだけ早く完済できるようにし、人生100年時代の老後の安心につなげたいところです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
●山下和之/住宅ジャーナリスト
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』『家を買う。その前に知っておきたいこと』(以上日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。