そのため、WEB系企業を志望する受講生に対して、未経験者の募集が中心の客先常駐(SES)の企業や大規模なシステム開発を行うSIer、ネットワーク環境を構築・整備するインフラ系の企業といった『希望とは異なる企業』を紹介しているのが現状です」(森川氏)
なんとか就職できたとしても、憧れていたIT業界のイメージとはかけ離れていると感じる卒業生も少なくないのだろう。
プログラミングスクールにメリットはあるのか?
かねてから人材不足が叫ばれているIT業界だが、未経験者がスクールで学んだだけで理想の仕事に就けるとは限らないのが現状だ。そのような不確定要素が多い支援サービスだからこそ安心できる、就職できなければ受講料が返金される「転職保証制度」だが、これにも難点があると森川氏は語る。
「プログラミングスクールに通った転職希望者にヒアリングを行ったのですが、実態として全額返金されるケースはほとんどありません。何かしらの形で就職が決まった場合(IT営業職であっても)、スクールから出される課題を納期までに提出できなかった場合は返金対象にならないといった規定が存在しているためです。スクールによって返金規定は様々ですが、返金がなかなかされないように規定が設定されているようです。
スクール側としては、当然ながらプログラミングを教える人件費などが発生していますし、誰も彼もに返金していたらビジネスとして成立しなくなってしまいますので、最後の最後まで返金はしたくないというのが本音です。『就職できなくても返金される』と軽い気持ちで受講しようとせず、返金の条件をしっかりと確認したほうがいいでしょう」(森川氏)
逆に、プログラミングスクールを利用することのメリットはあるのだろうか。
「RIZAP(パーソナルジム)のように第三者に管理してもらいながら、モチベーションを上げつつ、プログラミング学習ができることはメリットでしょうが、就職や転職ができないとなれば、60〜70万円といったコストに見合った投資とはいえません。
プログラミングスクールではカリキュラムの質のそこまでの差はなく、実務経験のない方や最近まで受講生だった方を講師として雇っているスクールも存在します。学習における自己管理ができない方であればともかく、自己管理ができて勉強が得意な方であれば、本やネットを使って独学でプログラミングを学ぶことは可能です。