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レスリング協会、クーデター再燃か…覇権狙う「日体大」派閥、会長職めぐる魑魅魍魎

文・写真=粟野仁雄/ジャーナリスト

 レスリング協会の「古傷」に触るようで恐縮だが、記憶のある人も多いだろう。原氏は1992年のバルセロナ五輪男子フリースタイル74キロ級に出場。メダルも期待され5回戦まで勝ち進んだが、スタッフが計量時間を間違えたために失格してしまった「悲劇の主人公」でもある。現在は故郷の新潟県で高校教員を務める傍らレスリングを指導、A級審判としても活躍している。

 筆者の取材に原氏は次のように語る。

「2008年から私は協会のジュニア担当コーチでA氏は強化委員長だった。私ら日本代表コーチに月30万円払われることになった。A氏は『高田さんに言われてる。金をこっちに振り込め』と言ってきた。日体大の先輩でもあり従ったんです。80何万円かを振り込んだ。その後、高校のナショナル合宿があり、高田さんから『あの金、選手に使ってやってよ』と言ってきたので『A氏に振り込みましたよ』と言ったら、高田さんは『えっ、なんで』と驚いていた」

 ある協会関係者はこう明かす。

「高田氏はもともと、周囲の反対を押し切ってA氏をナショナルコーチに引き上げたが、A氏はのちに解任されて収入も減り、次第に高田氏に敵対していった。また、A氏は金に関しては問題の多い人だという話も関係者の間では聞こえてきます」

反協会の急先鋒

 話は変わる。2019年7月、五輪5連覇を狙った伊調馨と2連覇を狙う川井梨紗子が東京五輪代表を争った「プレーオフ」が注目された。埼玉県和光市の会場に筆者も駆けつけた「世紀の決戦」は大激戦で川井が勝ったが、判定に不服だった伊調サイドの田南部力コーチが主審に暴言を吐き、退場や出場停止処分となる騒動もあった。この時の主審が原氏だった。

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 そういえば昨夏、キックバック問題について筆者が取材したA氏は、こちらから話題を向けたわけではないのに急にこの試合を持ち出し「でたらめな判定だ」などと激しく詰(なじ)っていた。全日本などの試合についても「山梨判定」などと高田氏を批判していた。高田氏が監督や教授を務める山梨学院大の選手に有利な判定をさせているという意味だろう。

 原氏は「高田専務とこじれたA氏は反協会の急先鋒になり、マッチポンプのように引っ掻き回している。実は馳氏も松浪氏も彼に利用されている」と語る。馳氏とは元プロレスラーの馳浩氏。協会副会長で元文部科学大臣の衆院議員だ。松浪氏とは協会顧問で日体大理事長の松浪健四郎氏。元衆院議員。

 高田氏は「馳副会長は理事会内で執行部を突き上げることが多かった。今回も『総辞職だ』と強調していた。自分も辞職することになるが、政治力で返り咲いて会長職を狙う魂胆でしょう」と語る。A氏の告発状の宛て先が文科省広報担当の官僚だったことからも、告発に馳氏が絡んでいることがうかがえる。

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23:30更新
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