NEW

レスリング協会、クーデター再燃か…覇権狙う「日体大」派閥、会長職めぐる魑魅魍魎

文・写真=粟野仁雄/ジャーナリスト

高田氏の会長就任を阻止?

「なぜ今頃」といえば、例の栄氏の「パワハラ騒動」を想起する。18年1月、突然、内閣府に「栄和人氏が伊調馨選手の練習を妨害した」などとする告発状が届いた。さらに原因が合宿などでの伊調―田南部コンビの勝手な振る舞いだったにもかかわらず、栄氏が伊調氏を叱責したことばかりを強調。「伊調氏が可哀そう」の世論を煽り、栄氏は強化本部長の座を追われた。

 この告発状、伊調氏とのことばかりが注目されたが、実は協会の金の使途について虚偽事実を並べて激しく批判しており、協会執行部を入れ替えたい狙いが透けていた。これは至学館大学からレスリング界の覇権を日体大に持っていきたい松浪氏の思惑とも一致していた。

 さて、高田氏。「私が納得して事が収まるのならそれでいいと思ったよ」などと話してくれたが「A氏だけは許せない」と怒る。「私の名を使って金を巻き上げたことは、証拠の記録や通帳は原氏がJOCにも送っている。それを見て判断してもらえばいい」と話す。 

 レスリングは伊調、吉田沙保里を筆頭に女子選手の大活躍でスポンサーも増え、協会には国からも強化費などさまざまな名目で金が入った。それをめぐるゴタゴタにせよ、不満ならその時に訴えればいい。「パワハラ騒動」同様、年数が経ってからの告発には別の意図しか見えない。東京五輪後に退くはずだった福田会長の後任としては高田氏が最有力だった。

 協会内の「不祥事」を煽り立てて執行部の責任を追及するA氏や馳氏ら「クーデター派」は、高田氏の会長就任を阻止したかったようだが、肝心の五輪が延期され開催の雲行きも怪しくなり焦っているようだ。

(文・写真=粟野仁雄/ジャーナリスト)

●粟野仁雄/ジャーナリスト

1956年生まれ。兵庫県西宮市出身。大阪大学文学部西洋史学科卒業。ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)を経て、82年から2001年まで共同通信社記者。翌年からフリーランスとなる。社会問題を中心に週刊誌、月刊誌などに執筆。『サハリンに残されて−領土交渉の谷間に棄てられた残留日本人』『瓦礫の中の群像−阪神大震災 故郷を駆けた記者と被災者の声』『ナホトカ号重油事故−福井県三国の人々とボランティア』『あの日、東海村でなにが起こったか』『そして、遺されたもの−哀悼 尼崎脱線事故』『戦艦大和 最後の乗組員の遺言』『アスベスト禍−国家的不作為のツケ』『「この人。痴漢!」と言われたら』『検察に、殺される』など著書多数。神戸市在住。

情報提供はこちら

RANKING

23:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合