AGC(旧・旭硝子)、脱・硝子依存の「ポートフォリオ経営」で復活…医薬品企業へ変貌の画像1
AGCのサイトより

 AGC(旧・旭硝子)とセントラル硝子は、基本合意していた建築用ガラスの国内での事業統合を中止すると発表した。コロナによる影響が指摘されている。両社は2019年12月、事業を統合することで基本合意していた。新設住宅着工件数の減少や複層ガラスの普及に伴う需要構造の変化を受け、今後も厳しい環境が予想されることから事業統合によって経営の効率化や収益の向上を目指すとしていた。

 20年10月、同年12月末を予定していた統合時期を約1年延長。新型コロナの感染拡大で互いの生産設備を訪問できないことが理由だった。その後も協議を続けてきたが、合意が困難だと結論づけた。事業の将来の見通しや評価額について、両社の見解が一致しなかったことが破談の原因である。

 国内のガラス市場はAGC、日本板硝子、セントラル硝子の3社が独占している。ガラスは世界的な寡占業界だ。板ガラスの8割が窓ガラスなど建築用。1割が自動車用で、残りが太陽光発電設備などに使われている。国内では建築用ガラスが住宅着工件数の低迷で市場の縮小が続き、余剰設備の統廃合が経営課題となっていた。経済産業省は15年、3社に統廃合を求める報告書を出した。

 住宅着工件数は高度成長期に増加を続け、1973年に190万戸を超えピークを迎えた。バブル崩壊後の90年代は長期的な減少を続け、2009年にはリーマンショクによる景気低迷の影響で100万戸の大台を割り込んだ。それ以降は年間80万~90万戸で推移してきた。

 国土交通省がまとめた建築着工統計調査によると、20年の新設住宅着工件数は前年比9.9%減の81.5万戸だった。減少は4年連続。リーマンショックの影響が残る2010年の81.3万戸以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大で展示場への来場客が減るなど営業活動に制約が目立った。着工件数はさらに減る見通しで、2030年には60万戸台、40年には40万戸台に減るとの予測もある。

 住宅着工件数の減少がAGCとセントラル硝子が建築用ガラス事業の統合に踏み切った理由だったが、統合条件がセントラル硝子に厳しく、これが統合交渉の大きなネックになったとの見方もある。

 ガラス事業が売上高の6割を占めるセントラル硝子の21年3月期の連結決算の売上高は前期比15%減の1890億円、営業利益は75%減の20億円、最終損益段階で5億円の赤字になる見込み。米国で自動車用加工ガラスの製造設備の一部を廃棄するのに伴い、約25億円の特別損失を計上する。

AGCは医薬品と半導体関連が伸びる

 18年7月1日、旭硝子は社名をAGCに変更した。世界的に認知されている企業ブランドと社名を統一するのが狙いだ。1907年の創立以来、社名から初めて「硝子(ガラス)」を外した。化学品や電子部材、セラミックなど、ガラス以外で幅広く事業を展開していることから、グローバル展開を加速するには英語名の社名のAGCのほうが効率的とみて社名変更に踏み切った。

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合