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ジャニーズとNHK大河の蜜月を考える…草なぎと木村の共演、松潤のもと嵐再集結はあるか

文=ミゾロギ・ダイスケ
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 1月中旬、2023年に放送されるNHK大河ドラマ『どうする家康』に、嵐を活動休止中の松本潤が主演し、徳川家康を演じることが発表された。

 松本は、『琉球の風』(1993年)の東山紀之(少年隊)、『新選組!』(2004年)の香取慎吾(当時SMAP)、『義経』(2005年)の滝沢秀明(当時タッキー&翼)、『軍師官兵衛』(2014年)の岡田准一(V6)に続く、大河ドラマに主演する5人目の現役ジャニーズ事務所所属者となる。

 そもそもジャニーズ事務所と大河ドラマの関係は深く、主演に限らず、これまでも数多くの所属タレントを出演させてきた。先日最終回を迎えた『麒麟がくる』でも、風間俊介が徳川家康を、長谷川純が斎藤道三(本木雅弘)の次男・斎藤孫四郎を、HiHi Jetsの井上瑞稀が織田信長(染谷将太)の嫡男・織田信忠を演じていた。

 そこで本稿では、歴代のジャニーズ事務所所属者が出演した大河ドラマ作品のなかで、特に重要度が高いものを9つ、紹介していきたい。

【1】郷ひろみらジャニーズ勢が平家の兄弟を演じた歴史的作品/『新・平家物語』(1972年)

 今から半世紀前のジャニーズ事務所は、4人組グループ・フォーリーブスを看板としており、研修生的位置づけのジャニーズJr.から有望な人材を吸い上げて次々にデビューさせていく……という現在採られているシステムを構築する前だった。そんな時代に放送された大河ドラマ『新・平家物語』は、吉川英治の同名小説を原作に平家の栄華と滅亡を描いた作品で、ジャニーズ事務所が大河ドラマと深くかかわった最初の例だ。

 主人公の平清盛(仲代達矢)と、その異母弟の平経盛(古谷一行)の若き日を、清盛=内田喜郎、経盛=郷ひろみと、当時のジャニーズ事務所所属者2名が演じていたのだ。

 内田はもともと映画会社「大映」専属俳優だったが、ジャニーズ事務所にスカウトされて移籍した人物。郷ひろみはフォーリーブスの弟分として強力にプッシュされていた新人で、この大河放送中の1972年8月に「男の子女の子」で歌手デビューを果たし、一躍トップスターの座をつかむことになる。なお、平清盛役の内田は、“大河ドラマの主人公を演じた最初のジャニーズ事務所所属者”ということになる。

 一方、郷は1975年にジャニーズ事務所を離れた後も、たびたび大河ドラマに出演しており、『草燃える』(1979年)で鎌倉幕府第2代将軍・源頼家、『峠の群像』(1982年)では赤穂四十七士のひとりである片岡源五右衛門を演じた。さらに、『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)で演じたのは徳川家康だった。このキャスティングは、『麒麟がくる』の風間俊介、『どうする家康』の松本潤と続くアイドル系家康の源流といえるだろう。

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『新・平家物語』は、第46回と最終回、総集編しか映像が残っていない。そのため、内田喜郎、郷ひろみの勇姿をフルで観ることはできない。ただし、総集編のDVDは発売されている。画像は、『NHK大河ドラマ新 平家物語 総集編』のDVD版ジャケット(NHKエンタープライズ) 。

【2】たのきん、シブがき隊、少年隊の選抜メンバーが総出演/『峠の群像』(1982年)

『峠の群像』は堺屋太一の同名小説が原作で、『赤穂浪士』(1964年)、『元禄太平記』(1975年)に続く、忠臣蔵を描いた大河ドラマの3作品目に当たる。大石内蔵助が緒形拳、吉良上野介は映画監督デビュー前の伊丹十三という配役だった。

 1982年といえば、たのきんトリオ(田原俊彦、近藤真彦、野村義男)のブレイクで一気に勢いを増したジャニーズ事務所が、シブがき隊(薬丸裕英、本木雅弘、布川敏和)を5月に歌手デビューさせ、ジャニーズ少年隊(のちの少年隊/錦織一清、東山紀之、植草克秀)をデビュー予備軍として待機させている時期である。

 そしてこの『峠の群像』は、大河ドラマとジャニーズ事務所の“蜜月”が確実になった作品だといえる。なにしろ、上記の3グループのメンバーのなかの各1名が顔を出しているのだ。

 たのきんトリオからは野村義男が、四十七士の一員である矢頭右衛門七役で登場。シブがき隊の薬丸裕英は、松の廊下のシーンにも登場する伊達村豊役を演じた。さらにジャニーズ少年隊の錦織一清が吉良家側の武士・清水一学役で出演している。これは、ジャニーズ事務所側が大河ドラマ出演を所属タレントのキャリアアップの場として重視したことの表れだろう。なお、『峠の群像』には、この年デビューした人気女性アイドルの小泉今日子、三田寛子も出演したことも付け加えたい。つまり、NHKが、大河ドラマにおいて男女を問わずアイドルを重用する傾向は、ここに始まったのである。

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残念ながら『峠の群像』でDVD化されているのは総集編のみ。今のところ動画配信サービスなどでも全話を視聴することはできない。画像は、『NHK大河ドラマ 峠の群像 総集編』のDVD版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【3】史上最高視聴率番組に、男闘呼組の岡本健一らジャニーズ勢が複数参戦/『独眼竜政宗』(1987年)

 山岡荘八の小説『伊達政宗』を原作とした『独眼竜政宗』は、平均視聴率39.7%、最高視聴率は47.8%(最終回)を記録した(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)大河ドラマ史上最大のヒット作だ。主演の渡辺謙はこの作品のヒットを足がかりに、現在の地位を築いている。

 1987年といえば、6月に光GENJIが歌手デビューして大ブームを巻き起こした年だが、それと並ぶ同年を象徴するブームとなった『独眼竜政宗』に、ジャニーズ事務所は2名を送り込んでいる。中村繁之と岡本健一である。伊達氏の家臣・遠藤文七郎を演じた中村は、イーグルスというグループでの活動を経て、1985年にソロ歌手としてデビューしたアイドル。後に男闘呼組としてデビュー、現在も俳優としてジャニーズ事務所に所属する岡本健一は、伊達政宗の弟である小次郎役を演じた。

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最大のヒット作だけあって、『独眼竜政宗』は全話がソフト化されている。アマゾンプライムビデオで同じタイトルの作品が視聴できるが、これは大河ドラマではなく、中村錦之助(萬屋錦之介)主演による別の映画作品である。画像は、『NHK大河ドラマ 独眼竜政宗 完全版』のDVD-BOX版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【4】初の“ジャニーズ主演”、東山紀之が主人公を演じた異例ずくめの作品/『琉球の風』(1993年)

 1600年代に薩摩藩の侵攻により属国とさせられる琉球の人々を描いた『琉球の風』は、東山紀之(少年隊)が主人公を演じている。これは、ジャニーズ事務所所属者が大河ドラマに主演した最初の例である。すでにSMAPがデビューしているこの時代、少年隊はグループとしてよりメンバー個々の活動が増えていた。そのなかで、東山は主演級で時代劇に出演する機会が多く、大河ドラマ出演は自然な流れともいえた。

 ただし、この『琉球の風』は正統派の大河ドラマではなく、異例の要素が多数ある実験的作品だった。まず、放送期間が1993年1月から6月の2クールという短さが何よりの特筆点だ。また、現在の沖縄県を舞台にするというのも斬新だった。さらに、主演の東山が「啓泰」という架空の人物を演じたのも珍しい。過去の大河ドラマで歴史上実在しなかったキャラクターが主人公だった例は『獅子の時代』(1980年)、『山河燃ゆ』(1984年)などゼロではないものの圧倒的に少数派であり、今のところ『琉球の風』が最後である。また、オープニング曲がNHK交響楽団の演奏した楽曲ではなく、谷村新司による歌詞のあるポップス曲だったのもレアケースだといえる。

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『琉球の風』は再放送されたことはあるが、何故か、VHSの時代も含めて過去に一度もソフト化されたことがない。ただし、埼玉県川口市にある「NHKアーカイブス」内の「公開ライブラリー」にて総集編を観ることができる。(画像は、NHKアーカイブス公式サイトより)

【5】タッキー&ヒガシ、忠臣蔵で、現在の事務所幹部クラスが共演/『元禄繚乱』(1999年)

『元禄繚乱』は、『峠の群像』以来となる忠臣蔵もので、先代の中村勘九郎が大石内蔵助を演じた作品だ。当時はまだ全員が10~20代のSMAP、TOKIO、V6、KinKi Kidsを擁し、嵐の歌手デビューを11月に控えていたジャニーズ事務所は、この作品に所属タレント3名を出演させている。

 まず、浅野内匠頭を、2度目の大河ドラマ出演となる東山紀之が演じた。そして、『峠の群像』では野村義男が演じた矢頭右衛門七役で今井翼が登場。一方、吉良上野介(石坂浩二)の養子である吉良義周を演じたのは滝沢秀明だ。この時代の滝沢と今井は、タッキー&翼を結成する前だが、ジャニーズjr.のフロントメンバーであり、人気も高くメディア露出も多かった。もう一点、興味深いのは、2018年に芸能活動を引退し、やがてジャニーズ事務所の取締役副社長となった滝沢と、タレント側のリーダー的なポジションにいる東山という、ジャニーズイズムの申し子的な幹部2名が同じ作品に出ていたという事実である。

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放送から長い時間を経て、2014年に完全版のDVD化が実現した。また、総集編のDVDもリリースされている。ただし、NHKアーカイブスでは視聴できない。画像は、『大河ドラマ 元禄繚乱 完全版』のDVD-BOX版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【6】香取慎吾&草なぎ剛、元SMAP2名が三谷幸喜作品で揃い踏み/『新選組!』(2004年)

 三谷幸喜が脚本を担当した『新選組!』は、2作目のジャニーズ事務所所属者主演作品である。前年に「世界に一つだけの花」をトリプルミリオンヒットにしたSMAP(当時)の香取慎吾が新選組局長・近藤勇を演じた。『琉球の風』は半年の放送だったので、ジャニーズ事務所所属者がゴールデンタイムのテレビドラマで1年間主役を張ったのは、これが初めてであった。

 またこの作品には、後に香取と一緒にジャニーズ事務所を離れる草なぎ剛が榎本武揚役でゲスト的に出演を果たし、盟友の主演作に華を添えている。

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完全版、未公開映像もプラスされた総集編『新選組!スペシャル』、続編『新選組!! 土方歳三 最期の一日』のDVDがリリースされている。画像は、『NHK大河ドラマ 新選組! 完全版』のDVD-BOX版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【7】現ジャニーズ事務所副社長・滝沢秀明が大河史上最年少の22歳で主演/『義経』(2005年)

 宮尾登美子の原作を映像化した作品で、源義経を演じた滝沢秀明が当時史上最年少(22歳)で大河ドラマ主演となった。若い滝沢を支えるべく、武蔵坊弁慶役の松平健をはじめ、『武田信玄』(1988年)の中井貴一、『春の波涛』(1985年)の松坂慶子、『勝海舟』(1974年)の渡哲也、『樅ノ木は残った』(1970年)の平幹二朗と、4名の大河ドラマ主演俳優など豪華キャスト陣が脇を固めた。

 滝沢はタッキー&翼として2003年に歌手デビューしているが、2005年はこの『義経』の撮影で多忙だったためかシングルを1枚しかリリースしていない。その点で、寂しい思いをしていたタッキー&翼ファンに、NHKはうれしいプレゼントを用意した。『義経』に、弓術の名手である那須宗高(いわゆる那須与一)役で今井翼をゲスト出演させたのである。なお、ジャニーズ事務所の歴史で、滝沢と今井のように、大河ドラマ2作品で共演した組み合わせはほかにない。

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『義経』は完全版のDVDがリリースされており、別途で総集編のDVDも出ているが、2021年2月現在、動画配信サービスでは観ることは出来ない。画像は、『NHK大河ドラマ 義経 完全版』のDVD-BOX版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【8】戦国時代にジャニーズ初参入!V6岡田准一が黒田官兵衛を熱演/『軍師官兵衛』(2014年)

 この『軍師官兵衛』は前川洋一によるオリジナル脚本で、岡田准一(V6)が武将・黒田官兵衛を演じた作品である。ジャニーズ事務所所属者主演作4作品目にして、初めて戦国時代が舞台の作品となった。また、官兵衛と同じキリシタン大名だった高山右近役で、生田斗真の出演もあった。

 岡田の大河ドラマ出演は今のところこれが唯一だが、以後も時代劇映画の出演が続いており、2021年公開予定の映画『燃えよ剣』では、新選組の土方歳三を演じる。一方、生田は『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)にも出演。ストックホルムオリンピックに出場したマラソン選手・三島弥彦役だった。

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『軍師官兵衛』は、完全版、総集編ともにDVD化されているだけではなく、ブルーレイ化もされている。なお、現段階で動画配信サービスでの視聴はできない。画像は、『大河ドラマ 軍師官兵衛 完全版』のDVD-BOX版ジャケット(NHKエンタープライズ)。

【9】電撃解散の男闘呼組メンバー岡本健一と高橋和也が豊臣方で再合流/『真田丸』(2016年)

 現役のジャニーズ事務所所属タレントが、ジャニーズ事務所から他の芸能プロに移籍したタレントと共演することは珍しい。木村拓哉が、袂を分かつことになった稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾と同じフレームには収まるということはなかなか考えにくい。だが、登場人物が多い大河ドラマでは、元ジャニーズと現ジャニーズが同じ作品に出演する例がある。

 かつて同じグループに属していた現ジャニーズと元ジャニーズの出演が実現したのが、『新選組!』に続き三谷幸喜が脚本を手掛け、堺雅人が主演した『真田丸』だ。この作品で、豊臣氏の武将・毛利勝永を演じたのは岡本健一で、豊臣秀吉(小日向文世)の寵愛を受ける武将・宇喜多秀家役は高橋和也(以前は髙橋一也)なのだ。この2名は、1993年にファイナルライブなどなしに突然解散した4人組バンドの男闘呼組メンバーであり、高橋は解散時点でジャニーズ事務所から離れた人物だ。『真田丸』のキャスティングは、当時の事情を知っている古参のジャニーズファンをざわつかせた。

 ちなみに、前述のように風間俊介、長谷川純、井上瑞稀と3名の現ジャニーズが出演した『麒麟がくる』には、斎藤道三役で本木雅弘(元シブがき隊)、毛利新介役で今井翼(元タッキー&翼)という2名の元ジャニーズも出演していた点にも触れておきたい。大先輩である本木と父子の役で共演した長谷川は、そこに特別の思いがあったという趣旨のコメントを残している。また、風間、長谷川と今井は、10代の頃から揃ってジャニーズJr.として活動していた面々で、この大河ドラマでの再合流を感慨深く思ったファンも少なくなかっただろう。

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『真田丸』は、完全版、総集編がそれぞれ、DVD化、ブルーレイ化もされているが、動画配信サービスでは視聴はできないので、視聴するにはソフトを購入するかレンタルが必須となる。画像は、『大河ドラマ 真田丸 完全版』のDVD-BOX版第壱集のジャケット(NHKエンタープライズ)。

『青天を衝け』『鎌倉殿の13人』、そして松本潤の『どうする家康』に“追加ジャニーズ”の出演はあるのか?

 さて、いよいよ放送がスタートとし、初回は20%という高視聴率を獲得した『青天を衝け』には、徳川慶喜役で元SMAPの草なぎ剛が出演するが、今後発表の追加出演者のなかに現役ジャニーズ事務所所属者が含まれるということも……大河ドラマなら、ないとはいえない。

 またそれ以上に、2022年放送の三谷幸喜脚本で小栗旬主演の『鎌倉殿の13人』はまだ一部のキャストしか発表になっておらず、その翌年放送の『どうする家康』は松本潤の主演が決まったのみの状態だけに、そこに、新たにジャニーズ事務所所属者が加わる可能性は大いにある。とくに『どうする家康』には、他の嵐メンバーの出演を期待する気の早い声もあるが、それも可能性はゼロではないだろう。

ミゾロギ・ダイスケ

ミゾロギ・ダイスケ

ライター・編集者・昭和文化研究家/映画・アイドルなど芸能全般、スポーツ、時事ネタ、事件などを守備範囲とする。今日の事象から、過去の関連した事象を遡り分析することが多い。著書に『未解決事件の昭和史』(双葉社)など。

Twitter:@D_Mizorogi

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