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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

森会長辞任、日本で報じられないIOCからの感謝…「五輪歴史の中で最も十分な準備」

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト

 当時、根上中学校では町長の息子である氏が衆院議員に当選したこともあってから、生徒全員に「あなたは将来、政治家になりたいか」などというアンケート調査を実施したが、当時の校長先生は「『政治家になりたい』と答えたのはたった1人だった」と明かしてくれた。実はその「たった1人」が私だった。

 というわけで、とりあえず勉強しようということになって、高校も出て大学も卒業して選んだ職業は、政治家とはまったく違う新聞記者だった。とはいえ、森氏も大学卒業後も新聞記者になっており、しかも私が入った新聞社と同じだったというのも偶然の一致だ。

 私の場合、新聞社に入ったのは「中国問題をやりたい」という強い動機があり、もう国内政治への関心はまったく消えていた。産経新聞社のなかで外信部記者としてずっと中国問題を専門にしていれば、本来ならば森氏と私の接点はなかったはずだ。

 ところが、新聞社には人事異動があり、専門以外の部署に飛ばされることもある。私も一時期の2年間、大阪本社地方部で勤務した。「中国以外の記事は書かない」というわけにはいかず、夕刊で森氏のインタビューを20回ほど連載したことがある。その後、東京本社の日本工業新聞社が創刊した「フジサンケイビジネスアイ」の中国経済担当記者として東京に帰り、そこでもインタビューしたこともある。その後、外信部に戻り、退社してからも、出版社の媒体でも取材させたいただいたこともある。私にとっては「故郷の大先輩」であり「新聞社の大先輩」でもあることから、森氏には個人的にもお世話になったことはいまでも感謝している。

 このような経緯もあって、私は一個人として今回の一連の騒動について深い関心を抱いてみていた。

森氏の功績への高い評価

 いずれにしても、森氏は総理大臣や主要閣僚、党の重要な役職も経験され、政治家として連続14回当選、42年間も衆院議員を務めるなど、政界の実力者であることは間違いない。ただ、失言癖が抜けず、誤解を招くような失言によって、窮地に立たされたことは一度ではない。今回も失言によって、東京五輪組織委の会長職を辞する結果に追い込まれた。個人的には非常に残念な思いだ。

 ただ、私が個人的に考えられないのは、森氏が演説する際、あまり原稿を事前に準備していないのではないかということだ。それだけ、森氏が弁舌に自信があるということだと思うが、私みたいな話下手からすると、「原稿なしの講演なり演説は危険だ」と感じざるを得ない。講演中に、話に詰まって、何を言って言いかわからず立ち往生してしまったら、目も当てられない。それとは逆に、すらすら言葉が出るのはいいが、それが思わぬ反発を招いたときは悲劇だ。

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