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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

日本のロケット開発、米中ロに大きく後れかすむ存在感…開発遅れ、競争優位性は消滅か

文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授

 仮にH3ロケットが来月にでも実用化されてサービスを開始できれば、想定している価格(軽量形態で約50億円など)は競争力がありそうだが、実際には2020年度中に試験機初号機を打ち上げる計画が2021年に延期されるなど、前途多難な状況である。よって、実用化に長期の時間を要し、サービス開始となった際、もはや競争優位性のある価格でなくなっている可能性は否定できないだろう。

日本の“身の丈”を考える

 人間は合理的に意思決定しそうだが、実は極めて情緒的で非合理的であるといった研究が数多く報告されている。ロケットに対する夢や憧れ、国家のプライドなどを考慮すると、ついつい前のめりになってしまうことは仕方がないことかもしれない。しかし、こういう時こそ余計にしっかりと“そろばんをはじく”必要があるのではないか。

 さらに、取り組むべきことと、技術的に可能であっても取り組まないことの見極めが、今後の日本および日本企業にとって極めて重要なポイントであろう。たとえば、2020年のロケット打ち上げ数は、米44、中40、露15、欧州7、日本4という結果であった。このように米・中が3分の1ずつを占め、欧州と日本がギリギリの存在感を示すという構図は、大きな成長が見込まれる製品の開発では、もはや“お決まりのパターン”ではないか。たとえば、自動運転の走行距離数も類似した状況であったと記憶している。

 規模の経済が大きな効果をもたらすグローバル化した現代の市場において、ギリギリの存在感は“屁のつっぱり”にすらならないかもしれない。たとえば、“6Gにおいては日本の存在感を!”という声も聞こえてくるが、筆者は否定的である。

 もちろん、自国を卑下する必要はまったくないが、経済や政治などにおける日本の“大国気取り”が、大きな損失を招かないことを祈るばかりである。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

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