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木村誠「20年代、大学新時代」

入学定員が10年で急増の観光関連学部は転換期に…立教大学観光学部ゼミの狙い

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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立教大学観光学部がある新座キャンパス(「Wikipedia」より)

 私も利用したことのある神奈川県湯河原町の素泊まり温泉宿「源泉ゆ宿高すぎ」が休業した。古風な佇まいで人気があった。他にも海が見える日帰り温泉の施設も休業して、湯河原温泉だけで約10軒が休業している。東京に近いので、車でよく利用した客は多かった。

 地元の情報通に聞くと、低価格で庶民的な店には「Go To トラベル」の恩恵はなく、昨秋、比較的高級旅館には客が集まったのと対照的であった、という。しかし、箱根の高級旅館を利用した客によると、Go To トラベル以前と比べ、料理やサービスがいまいちだったと不満を漏らしていた。

 コロナ禍の緊急事態宣言でGo To トラベルも再開のめどが立たず、大手旅行会社もピンチのようだ。JTBは国内480店のうち20%を削減し、人員も2.9万人のうち20%を削減する計画だ。同様に、近畿日本ツーリストも2024年度までに7000人のうち30%を削減し、店舗は2021年度に138店の60%を削減する予定だ。人件費のかかる店舗営業から、ネットを活用する経営転換を目指しているようだ。中小の旅行代理店は、より厳しい状況に置かれているだろう。

 当然、学生の就職活動にもコロナ禍の影響は出ている。2020年12月の就職内定率(大卒)は、前年度同期より4.9ポイント低い82.2%に下がった。もともと近年は文低理高の傾向が強かったが、文系が5.6ポイントも下がり、その差は広がりそうだ。

 大卒求人数は現時点では業種別で公表されていないので、参考までに高校の卒業見込み者の数字を見ると、求人数の落ち込みは全体で前年同期比20.7%減であるが、宿泊・飲食サービス業は45.9%減で、製造業の26.1%減と比べ、かなり落ち込みが大きい。宿泊・飲食サービス業の観光業は回復まで相当の時間がかかるという見方もある。

10年で急増した大学の観光関連学部の入学定員

 日本は観光立国を目指して2000年代に「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を策定し、外国人観光客1000万人の目標を立て、遅ればせながら2013年には達成した。その後、さらに急伸し、2019年のインバウンド(訪日外国人)は3188万人になった。外国人旅行者の日本での消費額は5兆円近くになり、過去最高を更新した。

 ビジット・ジャパン・キャンペーンが策定された2000年代以降、多くの大学が観光を主な研究や学びの対象とすべく、観光関連学部や学科を次々と立ち上げた。観光関連の学部を置く主な大学と設立年度を挙げてみると、国立大学では和歌山大学観光学部(2008年)、琉球大学観光産業科学部(2008年)、公立大学では、長野大学環境ツーリズム学部(2007年)などがある。私立大学では、草分けの立教大学観光学部(1998年)が屈指の存在だろう。観光学科、交流文化学科の2学科だ。

 他に主なところでは、年次順に城西国際大学観光学部(2006年)、東海大学観光学部(2010年)、京都文教大学総合社会学部(2012年)、玉川大学観光学部(2013年)、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部(2015年)、東洋大学国際観光学部(2017年)などが、次々と生まれた。観光という限定業種関連の新学部としては特記すべき現象で、それほど社会的ニーズが高いということであろう。

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