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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

原油価格上昇、家計支出が約2万6千円増加の可能性も…消費増税1%分の所得の国外流出も

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
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 また、原油価格我が国の交易利得(損失)には強い相関がある(資料5)。交易利得(損失)とは、一国の財貨と他国の財貨との数量的交換比率である交易条件が変化することによって生じる貿易の利得もしくは損失のことであり、輸出入価格の変化によって生じる国内と海外における所得の流出入の損失を示す。

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 そして、この関係に基づけば、原油先物価格が10ドル/バレル上がると年換算で1.5兆円の所得の国外流出が生じることになる。そこで、この関係から今後の原油先物価格が50ドル/バレル程度で落ち着くと仮定すれば、今年の所得は▲1.2兆円の海外流出にとどまる。しかし、今後の原油価格が平均60もしくは70ドル程度で推移すると、今年はそれぞれ▲2.8兆円、▲4.4兆円も所得の海外流出が生じることになる(資料6)。これは、原油価格が足元の60ドル/バレル台の水準で推移すれば、消費税率+1%ポイント引き上げ程度の負担増が生じることを意味する。

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コロナ渦での原油高が泣きっ面に蜂となる可能性

 経済のグローバル化や市場の寡占化が進展して以降、物価がこれまでと比較して世界の需給条件を反映した水準で決まりやすくなっている。特に、新興諸国が経済成長率を高めた2003年頃から、経済のグローバル化が実体・金融両面を通じて商品市況の大きな変動要因として作用している。このため、今後もコロナショックからの世界経済の持ち直しが持続すれば、世界の商品市況は下がりにくい環境が続くことになろう。

 特に今後は、ワクチンの普及により移動を伴うビジネスが回復することが予想され、世界の原油先物需要はさらに拡大する可能性もある。従って、今後もしばらくは原油先物価格が高水準で推移し、中長期的に見ても原油価格が高止まる可能性がある。

 これは、日本のように原油をはじめとした資源の多くを海外に依存する国々とって所得が資源国へ流出しやすい環境になることを意味する。特に人口減少等により国内市場の拡大が望みにくい我が国では、内需主導の景気回復は困難であり、所得の大幅な拡大も困難な状況が続く可能性が高い。従って、資源の海外依存度が高い日本経済が資源価格上昇の悪影響を相対的に受けやすく、日本経済は構造的に苦境に立たされやすい環境にあるといえよう。

 特に足元の個人消費に関しては、緊急事態宣言発出や厳しい雇用・所得環境の影響により消費者心理は大きく低下しているが、東京五輪関連の特需発生等に伴い、夏場にかけて一時的に回復するかもしれない。しかし、今後の個人消費の動向を見通す上では、原油価格の高騰といったリスクが顕在化してきたことには注意が必要であろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。内閣府コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会委員、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。

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