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菅首相、長男の「東北新社」中途入社で便宜図る…創業者に口利き、元総務相の立場を利用か

文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士
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 大手広告代理店はコネ入社が多いと誤解されがちですが、たとえば電通の場合、毎年百数十人の新卒社員のうち、純粋なコネ入社というのは、そのうちの数人、一桁台くらいじゃないでしょうか。もちろん業種にもよりますが、今は一部上場企業だと、大口取引先企業の部長クラスの子息くらいでは難しく、役員クラスにならないとコネ入社の対象に入ってこないのではないでしょうか。

 もっとも、大手メディアには“政治家枠”があるので、有力議員の子息などは結構多いですが、今回の東北新社のケースのように、自社の事業にダイレクトに権限を持つ省庁の大臣経験者の子息となれば、採用しないわけにはいかないでしょうし、むしろ“入社させて利用しよう”と考えるのは企業としては当然でしょう」(大手広告代理店社員)

 そして、過去に総務相・官房長官を歴任した菅首相といえば、総務省のみならず省庁全体に絶大な力を持つ政治家として知られている。

「強引に総務省でふるさと納税を推し進めた菅氏は首相就任後、政権の浮揚策の目玉として、総務省が管轄する通信業界に携帯電話料金の値下げを飲ませた。その菅首相の側近だった谷脇総務審議官、吉田真人総務審議官、秋本芳徳前情報流通行政局長の3人組が、あろうことか総務省のダイレクトな利害関係者である東北新社社員で、菅首相の息子である正剛氏から接待を受けていた。さらに同省出身で菅首相が内閣報道官に抜擢した山田氏まで同罪だったわけで、まさに“菅首相の身内が全員ズブズブ”な実態が露呈した格好となりました」(全国紙記者)

「わいろ」に当たる?

 自身の政治的立場を利用して、息子の就職に便宜を図っていたのだとすれば、倫理的に許されることではないが、法的に問題はないのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、次のように解説する。

「実は、収賄罪や贈賄罪で問題となる『わいろ』は、金銭に限られず、『人の需要もしくは欲望を充たすべき一切の利益』とされているので、代わりに借金を返済してくれた、豪華な食事をおごった、というのも『わいろ』になる場合があります。

『親族を入社させる』というのも、入社倍率が高く給与も良い会社への紹介などであれば、人が羨む職に就かせたという点で『わいろ』にあたるかもしれませんね。

 もっとも、収賄罪などは、単に『わいろ』をもらっただけでは成立せず、『職務に関して』という要件が必要となります。菅首相の息子が就職したのが2008年、菅首相が総務相を退任したのは07年なので、いくら就職先が総務省が管轄する放送事業を行っていたとしても、『職務に関して』とするのはムリでしょう。

 また、『コネ入社』自体も、いわゆる政治家の“口利き”のレベルでしょうから、法律問題とすることは難しいでしょう。

 ただ、一時期のスポーツ推薦で偏差値の高い大学に入ったスポーツが得意な高校生のほとんどがスポーツ以外の大学の授業についていけなくなった例と同様に、実力で入社してないなら、たいしたことはないんでしょうね(スポーツ推薦を否定する考えではありません)」

 盤石とみられた菅政権だが、早くも綻びが見え始めている。

(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)

菅首相、長男の「東北新社」中途入社で便宜図る…創業者に口利き、元総務相の立場を利用かの画像2山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

 

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