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小谷寿美子「薬に殺されないために」

処方箋薬、なぜ薬局によって値段が違う?「安い」薬局・「高い」薬局を見分ける方法

文=小谷寿美子/薬剤師
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残薬問題

 保険財政の視点からもうひとつ重要な問題は、「残薬問題」です。実はこれが年間500億円相当あるそうです。適切な治療のために出された薬なのに、実際飲まずに家にためこまれているのです。500億円を毎年ドブに捨てているようなものです。これを減らすことが薬局薬剤師の仕事です。

 患者さんに「残薬がある」ことを、どのように薬局は把握するのかが課題です。薬局で「残薬ありますか?」としつこく聞いても、飲んでいないと思われたくないという思いから「ない」と答えてしまうのが人間です。「残薬を持ってきてね」と袋を渡しますが、これもうまくいかないことが多いです。最終手段として、患者さんの家に行って薬を漁ります。

「残薬がある」と医師に文章で報告することは、残薬問題解決のための仕事です。薬局の働きかけで処方日数を減らしてもらうというのも仕事です。患者さんの家に行って薬を管理するというのもそうです。そうした実績を積み重ねた薬局を、国は「優等生」として認定します。

 ほかにも国の方針で「健康日本21」というものがあり、薬局としてこの方針に貢献していくことが求められています。国民が健康に生活できるために行う目標が決められています。その内容は当たり前のものなのですが、なかなか実行するのは難しいものです。「禁煙しましょう」「しっかり睡眠をとりましょう」「野菜を中心にバランスの良い食事をとりましょう」「運動しましょう」――。それぞれの地域で達成できない項目に差があり、市区町村単位でさらに実行可能な政策を行っていきます。

 港区のようなオフィス街では外食をする人が多いので、野菜の摂取量が少ないそうです。私が住んでいるところではオフィス街ではないものの、野菜摂取量が少ないため、「もう1品」運動が行われています。一方で下町地域では喫煙者が多いです。薬局では「禁煙相談」イベントを開催して貢献しています。また、生活習慣病予防に「健康相談」といったイベントも行います。こうした実績があると「優等生」薬局になれます。

どの薬局を利用するのがいいか?

 結局のところ、自分の価値観に合った薬局を利用することになります。「とりあえず薬がもらえればいい」と考える人は国から冷遇された薬局へ行けばいいだけです。調剤明細書の「基本料」のところを見るようにしてください。この数字が小さければ、国から冷遇された薬局なので安く薬が手に入ります。家から近いところがいい、品揃えが多いところがいい、話を聞いてくれるところがいい、日曜日に開いているところがいいと、さまざまな価値観があると思います。ちなみに日曜日は平日より値段が高く設定されています。

 それぞれの価値観に合わせて薬局を選べば、「オタクの薬局は高いわね」といった不満は減ると思っています。

(文=小谷寿美子/薬剤師)

●小谷寿美子

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。

明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。

市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。

入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

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