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キリンHD、クーデターのミャンマー国軍系企業と合弁、解消に壁…海外戦略が行き詰まり

文=編集部

ミャンマーに日本企業433社が進出

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によるとミャンマー日本商工会議所に加入している日系企業の数は20年12月末時点で433社に上る。日系企業の進出は11年の民政移管後に活発になった。

 国軍によるクーデターが発生して以降、日系企業は目まぐるしく変わる状況への対応に追われている。反発する国民は職場を放棄し、路上に出て抗議のデモを行ったため、多くの製造業が工場の稼働停止を余儀なくされた。スズキやデンソー、JFEエンジニアリング、ヤクルト本社、味の素などが操業を一時停止した。

 トヨタ自動車は2月中にミャンマーで現地生産を始める計画で、すでに工場の建屋は完成していたが、新工場の稼働開始を延期した。開始時期は「検討中」。ミャンマーの自動車市場の拡大を見据え、約55億円を投じ、新工場を建設した。生産するのはピックアップトラックのハイラックスで、年間生産能力は2500台。130人を雇用する予定だった。

 ヤンゴン近郊のティラワ地区には三菱商事、住友商事、丸紅などが工場団地を造営。KDDIと住友商事は国営企業と合弁で通信事業を展開している。イオンも現地企業とスーパー「イオンオレンジ」を運営。大和総研と日本取引所グループはヤンゴン証券取引所に出資している。

「アジア最後のフロンティア」と期待を膨らませて、多くの企業がミャンマーにやってきた。だが、ミャンマーで事業を継続すれば、欧米を中心とした国際社会から批判を受けかねない。欧米の経済制裁の進展の度合いによっては、輸出入だけでなく送金が制限されるというリスクもある。中国やインドと国境を接し、東南アジアでは比較的人口も多いミャンマーの中長期的な経済成長を想定して進出した日本企業は、政情不安というカントリーリスクを改めて思い知らされたことになる。

 高圧的な国軍政権が民衆の支持を得るのは困難とみられており、若者らの間では真の民主化を求める動きも出ている。ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は国連総会で「クーデターを終わらせ、罪のない人々への弾圧を止め、民主主義を取り戻すために最も強い措置が必要だ」と述べ、各国に国軍政権を承認しないよう要請。ミャンマーでの抗議運動で市民らが抵抗の印とする3本指を掲げた。国軍は2月26日の演説直後にチョー・モー・トゥン国連大使の解任を発表したが、国軍には1カ月経っても止まらない市民らの抵抗に対する焦りがある。

(文=編集部)

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