「俺たちはPR素材」…安倍前首相復興五輪のための復興発言、被災地住民から冷めた声の画像1
「安倍晋三 (@shinzoabe) • Instagram photos and videos」より

「ブエノスアイレスの国際オリンピック委員会(IOC)総会で行った東京招致へのスピーチで、『復興した姿を皆さんに見ていただく五輪にしたい』と話し、その趣旨に沿う形で復興は進んできた」

 安倍晋三前首相は時事通信が4日に配信した記事『復興五輪「歴史に残る大会に」 安倍前首相インタビュー―東日本大震災10年』で震災の復興と東京オリンピックについてそう語った。“復興五輪の趣旨に沿う形で、被災地の復興は進んできた”とも解釈できるこの発言に、間もなく発災から10年の節目を迎える東北被災地の一部住民は複雑心境を吐露した。

「心に引っかかった東北六魂祭と復興五輪」

 東京電力福島第1原発事故で避難指示区域に指定され、同県二本松市、福島市と転々と避難を続けてきた福島県浪江町の無職女性は(69)は次のように語る。

「東日本大震災と福島第1原発事故で、皆さんご自身も大変な中、全国の方々や政府の皆さんには、私の残りの人生ではとうていお返しできないほどの支援をいただいてきました。とてもありがたく思っています。

 これまでの10年間、私たち自身や地元自治体の復興の進め方にはいろいろな課題が残ったと思います。だからこんなことを言うのはおこがましいのかもしれませんが、今でも心のどこかに引っかかっているのは2013年6月に開催された福島市の『東北六魂祭』と、同じ年の9月に東京での開催が決定した『復興五輪』です。

 六魂祭の時、私たちは福島市内の会場で『被災者特別招待枠』として会場で東北6県の各県都のお祭りを観覧させていただきました。でも、ふと思ってしまったんです。『なんでこのお祭りは、私たちが長年地元で伝えてきた請戸の田植え踊りや、岩手や宮城の被災地伝統のお祭りを披露する場ではなくて、全国的に有名な秋田市の竿灯や仙台市のすずめ踊りを大規模に披露する場なんだろう。なぜ、私たちは他の地域の楽しいお祭りを見ているだけなんだろう』と。

 東京五輪開催決定時も『そんなにまで私たちのことを思ってくれてありがとう』と思ったのと同時に、どこかで『でも会場は東京だし、私たちは招待されて壁の花になることはあっても、東京の人たちのようにお祭りの中心で楽しむことはないんだろうな』『とにかく私たちは五輪のためにどんなに苦しくても復興しないといけないんだな』と寂しくなりました。どちらのイベントも復興を支える日本経済の振興のために必要なことと思います。

 ただ、今回の安倍さんのインタビュー記事を読んで、2013年の時と同じ気持ちになったのでお話しました」

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