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都立高校、偽装請負疑惑で労働局が2度目の調査…学校図書館の民間委託が破綻

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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 ところが、それで問題がすべて解決したわけではなかった。委託方式が変更された17年度以降は、それまで本社にいた業務責任者を各校に配置することで違法性を回避しようとしたが、その業務責任者は従事者が兼務するため、新たに違法性が疑われるグレーゾーンが生まれた。いわば、グレーゾーンをつくって、あからさまな違法性をカモフラージュした状態で、業務委託は継続されたのだ。そんななかで事態が風雲急を告げたのは、昨年9月30日に開催された東京都議会定例会でのことだった。

 都民ファーストの会所属の米川大二郎議員が一般質問で、15年に発覚した都立高校の偽装請負事件を取り上げ、いまだに違法状態が払拭されていない可能性に触れて、こう述べたのだった。

「平成27年のときのように、再び東京労働局の発注者指導が行われるようなことがあれば、業務の予算化は認められません」

 質問内容だけでは、いまひとつわかりにくいが、米川都議はクライアントから直接指示命令を受けられる業務責任者を、現場の従事者が兼務できる点を問題視。これは脱法行為であり、偽装請負にあたるとの労働局見解を基に追及したのだった(詳細は『東京都、違法行為横行で学校図書館の民間委託見直しへ…違法性排除できず、コスト削減効果もなし』参照)。

 野党議員がパフォーマンスで追及するのとは違って、都議会与党の議員の発言である。しかも、米川都議は都の職員出身で教育問題、とりわけ学校図書館に詳しい。「これはただごとではない」と考えた筆者が取材を進めていくと、このままでは偽装請負の疑いを完全に払拭できないとして都教委は、都立高校・学校図書館の民間委託を廃止も視野に入れて検討しているとの情報をキャッチした。

都立高校、偽装請負疑惑で労働局が2度目の調査…学校図書館の民間委託が破綻の画像2
(米川大二郎都議会レポート第12号より)

 11年度からスタートした都立高校・学校図書館の民間委託は、昨年9月時点で189校中128校と、ほぼ3分の2がその対象になっている。残り3分の1も順次委託に出され、あと数年で民間委託化はすべて完了するところまでこぎつけていた。それを今さら逆回転させるなど、本当にできるのだろうか。もし事実だとしたら、よほど何か深刻な事態に見舞われているに違いない。

 ここまでが昨年11月中旬のことである。だが、その後は来年度の予算要求段階になっても、民間委託廃止の動きはまったく見えてこなくなった。

 やがて都教委が、ソフトランディングを考えていることがわかってきた。すなわち、民間委託をスタートした11年度から、毎年十数校を新規に委託していたのをいったん中止し、その分については非常勤の学校司書を採用して配置する。しかし、すでに委託されている高校については、これまで通り指名競争入札で委託事業を継続するとの情報が入った。

 これでは、委託廃止どころか、ほんの一部を直接雇用、それも非正規の司書採用で、お茶を濁そうとしているのではないのか。

 12月に入ると、事態は進展するどころか後退し始めた。10日頃には、来年度から新規に委託される予定校10校名が総務部人事担当課長から各校長宛てに通達されたとのこと。やはり、直接雇用の話は一切出てこない。

 ここに至っては、もはや「委託廃止の方針」は完全に撤回されたとみなければならない。ところが、関係者から漏れ聞こえたきたのは、こんな意外な答えだった。

「都教委も、新規の委託を直接雇用に切り替える方針に変わりはないらしいのですが、予算額もスケジュールも大きな違いはないので便宜上は“委託”名目で進めて、年明けから正式に直接雇用を進めていくとのことです」

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