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都立高校、偽装請負疑惑で労働局が2度目の調査…学校図書館の民間委託が破綻

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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 委託も直接雇用も、スケジュールや予算で大きな違いがないとしたら、違法リスクを犯してまで民間委託を進めてきたメリットは、いったいどこにあったのか――。そう思わざるを得ないのだが、とにかく例年通りに進めながらも委託見直し方針は堅持しているというのだから、何がどうなっているのか、さっぱりわからない。

 直接雇用に切り替えるとしたら、遅くとも年明け早々には募集を開始しないと間に合わないはずなのに、その動きもまるで見えてこなかった。

 都立高校学校図書館の委託事業は、迷走したまま2021年の年明けを迎えた。そこに突然、降って湧いたのが、冒頭で紹介した労働局が都立高校に調査に入ったとの電撃情報だ。都教委の担当部署に問い合わせたところ、否定も肯定もせず。

 もし、15年に続いて再度、偽装請負で是正指導を受けることになれば、17年度に対策を講じた後も依然として、教育現場で違法行為が行われていたことになる。東京都の教育行政の信頼を根幹から揺るがす事態に発展しかねない。

 結局、2月中旬になってから「違法行為はなかった」とのお墨付きが労働局から与えられていたことがわかるのだが、それも受託企業が都教委と事前に対策を講じ、かろうじて違法認定を免れたにすぎず、もし調査が抜き打ちだったら最悪の事態を招いていた可能性も否定できない。

 ある図書館関係者は、次のように分析する。

「都教委は、なんとか逃れようと『のたうちまわっている』ように見えます。2回目の労働局調査は、1回目と重さがまったく違いますので、必死で現場と打ち合わせを行い、厳しく指導し、ボロを出させないようにしたと思います」

 折しも、この頃、都議会で“爆弾質問”を行った米川都議が、自ら所属する都民ファーストの会を通じて、都立高校学校図書館に関する要請を都教委と財務局に提出していた。

“米川ペーパー”では、(1)司書教諭の授業負担軽減、(2)偽装請負の温床になりかねない民間委託の全廃、(3)正規司書の定期採用の復活――などを柱にした提言がなされていた。与党側からの提言のため、もし米川案が無視されたら予算審議等にも影響が出ることは必至だった。

 委託廃止の動きを察知した事業者による活発なロビイイングや、日ごろから懇意にしている議員による委託継続の働きかけがあったかもしれないが、それ以上に米川案の重みは効いていたとみるべきだろう。

 結末は、間もなくやってきた。2月5日、都教委のサイトに会計年度任用職員として学校司書の募集が始まったのだ。各校2名ずつの募集で、給与はフルタイムで月19万円。1年ごとの会計年度任用のため、お世辞にも好条件とはいえないものの、委託事業者が募集する“ほぼ最低賃金”で、3~4人でワークシェアする求人と比べれば、それでもかなり改善された印象はある。

 対象となった、竹早、墨田川、葛西西、西、世田谷総合、北豊島工業、小川、昭和、秋留台、赤羽北桜の10校は、12月に「新規委託校」として内示されていたリストと完全に一致。やはり便宜上、“委託名目”で進めていたというのは、事実だったのだ。

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