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都立高校、偽装請負疑惑で労働局が2度目の調査…学校図書館の民間委託が破綻

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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 一方、すでに委託に出されていて、契約満了を迎える高校は、どうなったのだろうか。こちらも2月10日になって、東京都の入札サイトに発注予定の契約情報が出てきた。

「都立向丘高等学校ほか8校図書館管理運営業務委託」など6契約49校の入札に関する公告が出されていたのだが、例年なら3年契約のところが、これらの契約すべてが単年度契約であった。米川都議は、こう解説する。

「今期末までに委託を廃止するのはさすがに難しいので、来年度から委託を直接雇用に順次切り替えていく方針だと聞いています」

 だが、依然として偽装請負が疑われる状態であることに変わりないと、米川都議はクギを刺す。

「新たな仕様書を見てみましたが、これまでと内容はほぼ同じでしたので、違法状態は完全に払拭されていません。委託が行われている間、違法状態が生じないようにする必要があることを、改めて会派の役員から都教委に伝えてもらいました。もし、そこまでの体制を整えるのならば、会計年度任用(直接雇用)のほうが費用はかからないと考えています」

 これまでは、民間に任せると運営効率が上がって経費削減できるとされてきたが、適法にやれば直接雇用よりも高い費用がかかるというのだから、何をかいわんやである。

 ただし、直接雇用も当面は非正規の会計年度任用に代替されるようだが、2000年以降廃止されていた都立高校正規司書の定期採用が復活するのかどうかは、まだ不透明なままである。

 急激に進められてきた都立高校学校図書館という教育現場の民間委託は、この10年で違法認定と不履行続出などにより、完全に破綻したと言っていいだろう。

 問題は偽装請負や不履行だけではなかった。スタート当初に比べてほぼ倍増した委託費、不可解な事業者の技術点評価加点、落札可能な企業の不自然な辞退、受託企業による有力議員への政治献金など、いまだ表面化していない、おかしな出来事は枚挙に暇がない。

 2月9日付で発表された東京都の定例監査報告書(令和元年度執行分)でも、都立高校学校図書館の業務委託で、契約通り司書を配置していない等の契約不履行が2件、指摘されている。2015~16年にかけて頻発した契約不履行問題が、なんら改善されていない実態が改めて浮き彫りにされた。

 一方で、学校教育の中核として位置付けられ、生徒の読書活動や学習活動支援をはじめ、多様な機能を持つ学校図書館の本来の目的は、民間委託によってなおざりにされ、教師と学校司書とが緊密に連携するどころか、直接打ち合わせすることすらままならない不自由な状態を現場は長らく余儀なくされた。

 今回の委託廃止によって都立高校は、そうした呪縛から完全に解き放たれるのだろうか。米川都議は、近く発表される新指導要領に合わせて打ち出される教育長の新方針に着目してほしいという。

 教育長は、いったいどんな教育のビジョンを提示するのだろうか。そして都立高校・学校図書館は、どんな位置付けになるのだろうか。もし、このまま一部直接雇用の導入のみでお茶を濁すようなら、いまだ表面化していない「膿」を出し切らないといけないのかもしれない。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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