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医学部受験9年浪人の女性、なぜ母親を殺害?医学部多年浪人のリスクと親の“教育虐待”

文=編集部
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 また、「自分は親なのだから、少々のことは許される」という特権意識を抱いていることも少なくありません。こういう親は、子どもは「自分をよく見せるための付属物」という認識を抱いていることが多く、世間体や見栄のために子どもを自分の思い通りに支配しようとします。

 娘は、現役で国立大の医学部保健学科を受験し、不合格だったにもかかわらず、母親は親族には「合格した」と嘘をつき、娘にも従うよう求めたということです。これは、母親にとって娘が「自分をよく見せるための付属物」だったからでしょう。

 それでは、なぜ娘は母親から逃げられなかったのでしょうか。まず、「血は水よりも濃い」という言葉があるように、血のつながりからはなかなか逃げられません。しかも、支配欲求の強い親ほど血のつながりを強調するのです。

 また、支配欲求の強い親は、「私ではなく、あなたのためを思うからこそ、~するのがいい」という言い方をします。私自身、大学進学の際、自分の希望に反して、親から医学部進学を強要されたのですが、そのときも同じようなことを言われました。おそらく、殺害された母親も、あくまでも娘のためを思って言っているというスタンスで、娘を自分の思い通りにしようとしてきたのでしょう。

 さらに、殺害された母親は、娘の罪悪感をかき立てるのが巧みだったようです。娘が母親に「看護師になりたい」と本音を打ち明けたとき、母親は「あんたが我を通して、私はまた不幸のどん底にたたき落とされた」と言ったということですが、子どもの罪悪感をかき立てることによって、子どもを支配しようとする親は少なくありません。そういう親の決まり文句は「あなたのために、いろいろなことを犠牲にしてきた」という言葉ですが、殺害された母親も同じようなことを言っていたのではないでしょうか。

 こういう親を変えるのは無理なので、逃げるしかないのです。娘は3回にわたり家出をしたものの、結局連れ戻されたということなので、「逃げても、どうせ連れ戻される」と逃亡をあきらめてしまったのかもしれません。家族以外の人に相談して、その助けを借り、逃げていたら、母親殺害という最悪の結末は避けられたのではないかと思うと、本当に悔やまれます。

(文=編集部、協力=片田珠美/精神科医)

 

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