主な収益源だった国内紙巻きたばこの販売本数は687億本となり、1985年の3032億本と比べて、およそ5分の1に減った。国内たばこ事業の売上収益は5632億円と前期比9.0%減った。減少分の300億円程度が新型コロナによる影響だと説明しており、国境を越えた移動が制限されるなか免税店などで煙草の売り上げが減少した。

 一方、海外での紙巻きたばこの販売本数は4357億本に達し、すでに国内販売を上回る。海外たばこ事業の売上収益は1兆3308億円で全社の63.5%を占める。世界的に加熱式たばこの需要が急拡大している流。国内の加熱式たばこ市場では米フィリップ・モリスの「アイコス」が7割を占める。JTは今後、スイスのJTI主導で迅速な経営判断を下す体制を構築する。

 2021年12月期の連結決算は売上収益が前期比0.6%減の2兆800億円、営業利益は22.6%減の3630億円、純利益も22.6%減の2400億円を見込む。今期、1994年の上場以来初めて減配することが市場関係者を驚かせた。21年12月期の年間配当は1株当たり130円と前期比24円減らす。JTは「1株あたり配当金の安定的・継続的な成長」という配当方針を掲げ、19年12月期まで16期連続で増配というかたちで、これを実践してきた。20年12月期は配当を据え置いたが、それでも配当利回りは一時8%に達するなど国内企業屈指の高い配当率を誇り、これがJT株の魅力だった。今回、増配路線と決別し、上場来初の減配に踏み切った。

 JT株は高配当利回り銘柄として個人投資家に人気があった。「想定外の減配」(個人投資家)に驚きの声も出ている。2月10日の東京株式市場、初の減益方針を発表したためJT株は一時、10%を越える217円安の1934円まで下げた。4カ月ぶりの安値だ。配当狙いの個人投資家が減配のネガティブサプライズで売り急いだほか、海外勢の売りも出た。時価総額は1日で3200億円減ったと市場関係者は見ている。

 JTが積極展開しているロシアでは21年、たばこ税が増税される。コロナ禍による健康志向の高まりや雇用・市場環境の悪化がたばこの総需要を減らすとの懸念が根強い。21年12月期は円高の影響を受け、海外のたばこ事業も減収になると想定している。不動産売却益を見込めず、減収減益が続くとみている。コロナ禍で財政出動を積極化した各国政府が財源確保のため、たばこを狙い打ちにすると予想され、株価は2000円の大台を割り込んだままで、安値圏で推移している。