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富士通に勝った男・佐々木ベジ氏とは何者?弟・奥山一寸法師氏と共に某社へ敵対的TOB

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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 さらに、20年11月には、ある調査会社から、フリージアのグループ会社社員の行動調査費用の未払い分約2300万円の支払いを求め、佐々木氏を被告として民事訴訟が提起されているとも報じられた。

 このように佐々木氏は、秋葉原のバッタ屋から身を起こし、ときには敵対的な手法を用いて複数の上場企業を買収して注目を集めるなどした毀誉褒貶に満ちた人物だ。

富士通との攻防戦

 そんな佐々木氏が兜町でその名をとどろかせたのは、17年のソレキア(東証ジャスダック上場)へのTOBだ。フリージアは16年11月に富士通の特約店のソレキアの5%超の株主として浮上。17年2月3日にTOB実施の届出を提出した。買付価格は一株2800円。このときソレキアは買収防衛策を取ってはいなかったが、突然のTOBに会社側は意見表明を保留し、佐々木氏に質問状を送付。仕入先多様化によるコストダウンなどROE経営の導入などによる企業価値向上策を提案した。

 この間、ソレキアがホワイトナイトを要請したのが富士通だった。富士通とは60年にわたり販売代理店として取引を続け、9人の取締役のうち4人が富士通出身者だった。富士通の協力を得たソレキアは3月10日、佐々木氏のTOBに反対意見の表明を決議。16日に富士通は一株3500円でTOBすることを発表、ソレキアもすぐに賛同意見を表明した。

 その後、佐々木氏と富士通はTOB合戦となり、両者は買収価格を競り上げていったが、最終的に一株5450円を提示した佐々木氏に軍配が上がった。天下の富士通にTOBで競り勝った佐々木は、兜町でその名を馳せたのはいうまでもない。これまで日本ではタブーとされてきた“敵対的買収”でも企業を支配することができる、この体験は佐々木氏にそう実感させたのかもしれない。

日邦産業へのTOB

 そしてデジャブであるかのような敵対的買収劇が始まったのが、4年後の21年1月。冒頭の日邦産業の筆頭株主としてフリージアが急浮上してきたのは、19年3月25日。その後、徐々に市場から株を買い進め、19年6月13日には179万6700株(19.68%)まで買い進んだ。

 以降、19年に日邦産業が導入した買収防衛策をめぐって、フリージアからの批判が繰り広げられ、そして21年1月28日、フリージアは日邦産業側には事前の連絡もなく突然、TOBすることを表明したわけだ。期限は3月25日まで。

 これに対して日邦産業は、TOBが「当社に対して、何の連絡もないまま一方的に開始されたもの」と反発。フリージア側は、資本業務提携を結ぶための交渉力を強化するために、TOBを実施して出資比率を上げるためだと説明しているが、日邦産業の公表資料によると、2019年11月14日には日邦産業側からフリージアグループのホームページ等を参考に業務提携によるシナジーの素案を示したところ、売上高に与える影響は軽微なものだったという。

 また、これまでフリージアグループから日邦産業になされる要望は専ら資本政策に関することのみで、業務提携について積極的な姿勢は示されなかったという。

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