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富士通に勝った男・佐々木ベジ氏とは何者?弟・奥山一寸法師氏と共に某社へ敵対的TOB

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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 日邦産業は2月9日の取締役会でTOBに対する意見表明を保留し、フリージアに金融商品取引法で認められている質問権を行使した。この段階で早くも舌戦が繰り広げられた。

 日邦産業は、質問状の中で「当然のことながら当社の事業パートナーとなられる方における法令遵守・内部統制に対する意識や体制について、高い関心を有している」として、フリージアや従業員の過去の法令違反行為について質問した。それに対して、フリージアは2月18日の回答の中で「事の詳細は本公開買付けの目的及び趣旨とは直接の関係があるとは受け取れません」「何故にこのような質問をされるのか、その根拠をお示し頂ければ幸甚です」と異例の逆質問で応酬している。

 そうした舌戦を経て、3月8日、日邦産業は、顧客・仕入れ先や金融機関との関係悪化を招くなどとして、フリージアによるTOBに正式に反対意見を表明した。フリージアグループが日邦産業の経営に関与した場合、有力取引先による取引の打ち切りや金融機関による新規融資の停止が懸念されるとのことで、消費者への直接の販路を持たない部品メーカーとしては、取引先から反発されるとひとたまりもない影響を受けるのは想像に難くない。

 この間、日邦産業では2月14日から3月1日まで、従業員に対してTOBに対するアンケート調査を行っていた。このアンケート調査では、従業員(全従業員は401人)の96%(392人)から回答を得、そのうちの約80%にあたる314人からTOBに対して反対だという回答を得ていたという。

 その理由は(1)「狙い・目的が不明、本公開買付け後に企業価値が向上するとは思えないから」、(2)「労働条件(リストラ・配置転換・給与賞与/退職金等)の改悪を警戒するから」、(3)「事業方針(主要な顧客・仕入先・金融機関等との取引)の転換や制約が懸念されるから」だという。反対意見の表明と同時に、日邦産業の取締役会はかねてより導入していた買収防衛策を発動することを決定。3月31日を基準日とする新株予約権の無償割当を行う。

 これに対してフリージアは無効だとして即座に買収防衛策の差し止めの仮処分を裁判所に申請した。裁判所がこの申請を却下して無償割当が行われれば、株価が希釈されフリージアは大きな損失を被ることになるから、TOB自体も中止されることになる。

 裁判所は果たしてどのような判決を下すのか。成り行きが注目される。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

●松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)「堤清二と昭和の大物」(光文社)「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)などを多数。日本ペンクラブ会員。

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