2016年に同じく強盗致傷で逮捕されて、懲役5年の実刑判決を受けて服役していたときに、手口が似ているとして調べられて再逮捕されたそうです。
この上倉容疑者が、神澤のボスの面接に来たことがありました。しかも、直接ではなく地元の財界人を通すなど、手の込んだ方法で何度も来るんですよ。その都度やんわりとお断りしましたが、仲介した方の強い希望で実際に面接をしたこともあります。なんか信用できず、採用には至りませんでした。
この上倉容疑者も口がうまいんですよね。佐藤ゆかり議員の秘書をしていたときは、佐藤議員はどこに行くにも彼を随行させていましたし、参議院議員の事務所では公設登録までしていたのですから驚きです。強盗のほか、詐欺や窃盗も繰り返していたようです。
結婚詐欺で2000万円貢ぐケースも
実は、神澤も秘書仲間に投資詐欺で騙されたことがあります。今にして思えば見抜けたはずですが、当時は財務副大臣の政策秘書だった彼を信用してしまいました。肩書を信じ、人間性を見極められなかったんですね。お恥ずかしい話です。
また、公設秘書や政策秘書と聞くと結婚の条件としてよく見えるようで、独身と偽ってデートを重ね、不倫だとわかった途端に修羅場になる秘書もいます。中には、相手の女性が失意のあまり自殺された方もいます。これって結婚詐欺と同じですよね。
本当に結婚詐欺の被害に遭った友人秘書もいます。秘書同士ということで信用してしまったのでしょうね。後からわかったのですが、友人秘書は2000万円も貢いでいて、現在も裁判で争っています。
その裁判の過程でわかったことは、日本は重婚を認めていないのに「重婚状態は受け入れている」という衝撃の事実です。たとえば、一方が勝手に離婚届を出し、新たな相手と再婚するとします。後にそれがわかって離婚届の無効が認められると、その婚姻関係も再婚も有効と認められるのだそうです。
戸籍上は、2人の配偶者が同じ人物という状態。「そんなのおかしいでしょ?」と思いましたが、国は何かをしてくれるわけではなく、あくまで当事者が家庭裁判所に申し立てて、どちらかを整理しないことには重婚状態が続くのです。このことは、また別途追及したいと思います。
口のうまい秘書には、くれぐれもお気をつけください。国会議員の秘書である神澤が言うのもおかしいですが、みなさんにくれぐれもご理解いただきたいのは、国会議員の秘書は偉くもすごくもないということです。世間には、神澤のような政策秘書のことを拝むように接してくださる人もいます。多少、政治の世界に詳しく、法律にも詳しいというだけです。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。
