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メジャーリーガーたちの“センバツ”…大谷翔平&山口俊、屈辱をバネにプロで飛躍

文=上杉純也/フリーライター

 優勝候補同士の激突となったこの一戦、大谷はまずバットで魅せた。2回裏に藤浪から右中間スタンドへ特大の先制ソロを放ったのだ。一方、投手・大谷も5回表まで大阪桐蔭打線を2安打無失点に抑え、試合は完全に花巻東ペースだった。ところが6回以降、試合展開は一変してしまう。大谷は6回表に2つの四球と長短打を浴びて一挙に3失点。7回には本塁打を打たれるなど、結果的に8回3分の2を投げて被安打7、与四死球11という大乱調で、9失点を喫してしまった。当然のように試合は2-9と惨敗。それでもこの試合、強打の大阪桐蔭打線から意地の11三振を奪ったのは、大谷の実力の片鱗でもあった。

山口俊(サンフランシスコ・ジャイアンツ)

 今季からサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下に所属してメジャー昇格を目指す山口俊も“暗”だった1人。05年に柳ケ浦高校(大分)のエースとして出場しているが、このときのチームは、前年秋の明治神宮大会を圧勝したこともあり、堂々の優勝候補。山口は持ち前の剛速球でチームをけん引したこともあり、その投球に早くから注目が集まっていた。

 だが、初戦の天理高校(奈良)戦で、いきなり甲子園の洗礼を浴びてしまう。直球は最速151キロを記録し、観衆の度肝を抜いたものの、試合巧者の天理打線のソツない攻撃の前に9安打を浴び、0-4でまさかの初戦敗退を喫した。大会2日目にしてプロ注目の右腕はその姿を消したのである。

筒香嘉智(タンパベイ・レイズ)

 打者で苦杯を舐めたのは、タンパベイ・レイズの筒香嘉智だ。08年の第80回大会のことである。2年生ながら名門・横浜高校(神奈川)の主軸打者として甲子園に初出場し、初戦で滋賀の公立校・北大津高校と対戦する。前年秋の関東大会王者に輝いた横浜からすれば、明らかに格下の相手であったが、まさかの取りこぼしをしてしまう。

 実は、番狂わせの伏線はあった。1回表1死一塁で甲子園初打席を迎えた筒香だったが、ここであっけなくショートゴロ併殺打に倒れてしまう。さらに守りでも2回裏に、なんでもないサードゴロを弾いてしまった。それでも4回表に筒香の二塁打をきっかけに横浜が先制。このまま主導権を握るかと思われた。

 ところがその裏、投手陣が突如乱れて4失点。攻撃陣も1点しか返せず、2-6で敗れてしまった。筒香自身の成績も4打数1安打1打点1三振と消化不良に終わっている。ちなみに強豪・横浜にとってセンバツ初戦敗退は1999年以来、実に9年ぶりの出来事であった。

ダルビッシュ有(シカゴ・カブス)

 最後は明と暗の両方を抱えている選手だ。シカゴ・カブスのダルビッシュ有である。ダルビッシュは2003年と04年、2年連続で出場を果たしているが、注目はなんといっても3年生となった04年だろう。

 前年夏の準優勝投手として乗り込んだこの大会、ダルビッシュ擁する東北高校は堂々の優勝候補に推された。1回戦では2-0で熊本工に勝利するのだが、ここでダルビッシュは快挙を達成する。史上12人目のノーヒットノーラン達成である。

 2回裏に、この日最速の147キロをマークすると、3・4回は6連続奪三振の快投をみせた。終わってみればわずか2四球を与えただけで、奪三振12というほぼ完璧な投球だった。だが、強豪・大阪桐蔭高校との2回戦でダルビッシュは甲子園初被弾を喫してしまう。しかも、同じ打者に2本も打たれたのだ。2本目を打たれた直後の6回表でダルビッシュは降板。チームは3-2で競り勝ちベスト8進出を決めたものの、本人的にはやや不完全燃焼のゲームとなった。

 準々決勝は初出場の済美高校(愛媛)との一戦となった。ダルビッシュは右肩のハリを訴え、登板を回避。代わって先発した背番号18の真壁賢守が8回まで好投。ところが、6-2で迎えた9回裏に2点を返されると、最後はまさかの3ランが飛び出し、6-7で悪夢のサヨナラ負け。皮肉にもその劇的弾はレフトで先発出場していたダルビッシュの遥か頭上を越えていったのである。

 昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、2年ぶりの開催となった今年のセンバツ。果たして、ここから未来のメジャーリーガーは何人現れるのだろうか。

(文=上杉純也/フリーライター)

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