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木村誠「20年代、大学新時代」

東京都立大学を上回る“マンモス”大阪公立大学の誕生で関西の受験勢力図は激変か?

文=木村誠/教育ジャーナリスト

 そのため、旧来の「関関同立」「産近甲龍」の括りは解体していきそうだ。同志社大学は偏差値的には頭一つ抜けており、京都大学の併願校として不動の地位を築いている。『陰謀の日本近現代史』の保坂正康氏、多方面の言論活動で活躍する佐藤優氏、『永遠のゼロ』の百田尚樹氏(中退)など多彩な論客のOBが活躍し、今や「西の慶應」というより「東の東大×早稲田、西の京大×同志社」のイメージが定着した。その意味では、大阪公立大の影響は少なそうだ。

 その点で、同じ京都の立命館大は、グループ全体で総額25億円という桁違いのコロナ支援策で話題を呼び、大阪いばらきキャンパス(OIC)で大阪府との連携を強めている。ただ、昔ほどの元気はないとの声も……。

 大阪府吹田市の関西大は、大阪府大・大阪市大との3大学連携を強化している。関関同立の中ではいまいち印象が薄かったが、これを機に挽回の可能性あり。

 ミッション系の関西学院大学は、どうしても「港町・神戸のある兵庫県の私学」の印象がぬぐい切れない。注目された社会起業学科などの学部・学科新増戦略が功を奏するか。

「産近甲龍」への影響は

 次に「産近甲龍」を見てみよう。

 京都産業大学はクラスター発生の影響を引きずっているようだが、龍谷大学とともに新学部や学部改組などで真価の発揮が期待される。両大学とも地味であるが、学びの特色はむしろ着実な印象を受ける。しかし、地理的にも大阪公立大の併願候補からは外れる可能性は高い。

 甲南大学は企業経営者の2世が多く、御曹司大学のイメージが強いが、推薦・一般とも志願者が減り、コロナ禍で地元化が進んでいる。自宅生比率が圧倒的に高まっていることは想像に難くない。やはり、大阪公立大の余波は受けそうだ。

 その点、全国の私大の中でも例年志願者数トップの近畿大は「早慶近」のキャッチフレーズを打ち出すなど意気軒高。大阪府とのつながりも強く、大阪公立大の誕生では、自民党の世耕弘成参議院議員(創立者家系)と維新との関係でどう動くか、医学部があるのが強みであるが、大阪市大医学部との連携がプラスと出るか、マイナスと出るか。読みにくい要素は多い。

 京大の受験生にはそれほど影響はないが、神戸大、関西学院大、甲南大などは、大阪公立大という強力ライバル登場でどうなるか。奈良、和歌山など近県からの受験生も集めるだろう。

 とりわけ、手厚い授業料無償化制度の恩恵を受ける生徒・保護者がともに大阪府内に在住する受験生は、関西大・近畿大・立命館大(OIC)など大阪府内での併願率が増加して、影響を受けそうだ。

(文=木村誠/教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。

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