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藤和彦「日本と世界の先を読む」

米国の中国批判で、米エネルギー企業やナイキ等の「ウイグル強制労働」問題が浮き彫り

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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 バイデン政権において、人権派の筆頭はブリンケン国務長官、環境派の筆頭はケリー特使である。ケリー氏はオバマ政権時代の国務長官であり、ブリンケン氏のかつての上司だった民主党の重鎮である。両者の力関係は今のところ不明だが、「米国内の世論や民主党で勢力を伸ばす左派の意向を踏まえると人権問題が優先されるのではないか」との見方がある(3月26日付Wedge)。

 米国内での環境問題に関する意識の高まりを受けて、米国太陽光エネルギー産業協会(SEIA)は16日、「米議会が昨年末に太陽光発電設備に対する26%の税額控除を延長したことを追い風に、米国内の太陽光発電の設備容量は2030年までに現在の4倍に増加する」との見通しを示した。昨年までに導入済みの設備容量は約100ギガワットだが、2030年までに424ギガワットになるという。424ギガワットは全米の世帯の5割以上の電力需要を満たすのに十分な量である。

米中の対立が泥沼化

 意気軒昂な太陽光発電業界だが、「不都合な真実」も明らかになりつつある。太陽光パネルに使われる部材の主要生産地が新疆ウイグル自治区であることが米国内で広く知られるようになってきているからである。太陽光エネルギーを電気に変えるために不可欠なポリシリコンの世界の供給量の半分が、新疆ウイグル自治区の工場で生産されている。

 米国最大の労働組合である米労働総同盟産別会議はバイデン政権に対し、新疆ウイグル自治区で生産されるポリシリコンを含む太陽光関連製品の輸入を禁止するよう求めている(3月17日付ブルームバーグ)。新疆ウイグル自治区で生産されるポリシリコンが安価な石炭火力発電に依存していることも、バイデン政権の環境政策にとって望ましくない。

 米共和党のルビオ、民主党のマークリー両上院議員は23日、新疆ウイグル自治区での強制労働でつくられた太陽光関連製品に米国がどの程度依存しているかを示すよう、SEIAに要請した。これに対しSEIAの幹部は「両議員の懸念を共有している」とした上で「米太陽光エネルギー企業に今年6月までに新疆ウイグル自治区から完全に撤退するよう求めている」と述べた(3月23日付ロイター)。

 このようにバイデン政権の環境政策は、中国への「ジェノサイド(大量虐殺)」批判と相容れないようだ。米中の対立がどこまで深刻化してしまうかわからなくなっている。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

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