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木村誠「20年代、大学新時代」

女子大学生の自殺、なぜ急増?動機別で「就職失敗・進路の悩み」が増加…曖昧耐性が大事に

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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女子大学生の自殺が増えている背景

 表2「動機別自殺者数(大学生)2014→2020年」(厚生労働省調査から筆者作成)で2014年と2020年の経年変化を見ると、総数は微減となっている。自殺の動機についても、その順序に大きな変化はないが、精査すると、やはり新型コロナの影響と推測できる数字が出てくる。それは、特に男女比の変化から読み取ることができる。

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 2014年と比べ、2020年の自殺者総数は男性が20ポイント減となっているが、逆に女性は50ポイントも増加しているのである。実数では男性は女性の2倍だが、その差は急速に縮小している。

 動機別に見ると、「親子関係の不和」が男女ともに倍増しており、これは新型コロナの影響でステイホームの時間が長くなり、親子間の生活意識や価値観が対立する場面が多くなったと推測できる。

「うつ病による悩みや影響」では男性は減少気味なのに、女性は2ポイントも増えている。これも新型コロナの影響と言えるかもしれない。

 また、これは共通点があると思われるのが、「就職失敗」と「その他進路に関する悩み」である。ともに男性は2014年と比べて減っているのに、女性は急激に増えている。男性は大勢順応で「俺だけではない」と考えるのに対し、女性は真剣に思い詰める傾向があるのかもしれない。また、就職や進路に関していえば、女性の希望者が多い航空会社、デパート、大手アパレル、ホテルなどの求人がコロナ禍で減少していることも関連があるのだろう。

 精神的にも、孤独感を動機とする自殺は、男性は減っているのに、女性は2人から9人に増えている。総じて、コロナ禍の大学生活では、女性が精神的に追い詰められているという印象になっている。

白黒をつけなくてもいい「曖昧耐性」とは

 日本学生相談学会理事長で甲南大学文学部教授の高石恭子さんは、学生相談室カウンセラーの経験から、次のようにアドバイスする。

「心理学には、『曖昧耐性(ambiguity tolerance)』という言葉があります。不安になると、人は早く白黒をつけてしまいたくなるものですが、グレーはグレーのまま、決まらないものは決まらないままに置いておける能力のことです。『曖昧』というとマイナスのイメージを持たれるかもしれませんが、実は、人が生きていく上では、何が正しいかはすぐわからないことの方がずっと多いのです。曖昧耐性=不確実さに耐える力は、よりよく生きるために『多様性を抱える力』『待つ力』と言い換えてもよいでしょう。

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