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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

セイキンのカフェイン依存症が深刻、“コーヒー断ち”で禁断症状…コーヒーは1日3杯まで

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

 YouTuberの「セイキン」が配信した動画『カフェイン依存者がカフェイン摂取をやめた時に発症する離脱症状がヤバすぎる』が話題を呼んでいる。

 大のコーヒー党であるセイキンは、妻から「コーヒーの飲み過ぎでは?」と指摘され、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインを含む飲み物すべての摂取を1週間やめ、それに伴う変化を検証した。その経過を予防医療研究協会理事で精神科医の髙木希奈医師に解説してもらった。

離脱症状

 セイキンは、コーヒーをルイボスティーやマンゴージュースに替えて生活を始めたところ、1日目は問題なく順調に過ごすことができた。しかし、2日目以降に体の異変が出始めた。その異変は、眠気や倦怠感、体の重さ、集中力の低下が起き、動画の中でセイキンは“禁断症状”と分析しているが、精神医学的には「離脱症状」と呼ばれる。

「長期にわたる毎日のカフェイン使用があり、その使用を突然中断したり減量した後の24時間以内に離脱症状が発現します。通常、離脱症状は、その物質が持つ作用と反対の作用が現れます。カフェインの主な作用は、覚醒・興奮作用、利尿作用、解熱鎮痛作用、胃酸分泌促進、筋肉の収縮、動悸、基礎代謝の亢進等であり、カフェイン断ちをすることで、これらと逆の症状が現れます」

 カフェインの主な離脱症状は次の通りである。
1.頭痛
2.疲労感、眠気
3.不快な気分、憂うつ気分、怒りっぽさ
4.集中困難
5.吐き気、嘔吐、筋肉痛や筋肉の硬直

 セイキンに起きた異変は、まさにこういった離脱症状に当てはまる。離脱症状は通常、再度カフェインを取ることで治まる。実際にセイキンが8日目にコーヒーを飲んだところ、30分後には頭痛が消えたと報告している。

カフェイン依存症とカフェイン中毒

「精神医学的には、カフェインも中毒や依存症になります。世界的な診断基準である『ICD-10』の精神作用物質使用による精神および行動の障害、『DSM-5』の物質関連障害群の両方に、依存性物質のひとつとしてカフェインが入れられています。ただし、アルコールや覚醒剤などの他の依存性物質に比べると依存性は低く、ニコチンと同程度もしくはニコチンよりも低いといわれています」

 セイキンは動画で「コーヒーをやめられない体になってしまっているんだってことが、よくわかりました」と言っているが、多くの現代人が自覚はなくてもカフェイン依存になっている可能性がある。

 カナダ保健省(HC)は、1日あたりのカフェイン摂取量として、健康な成人で400 mg(コーヒーをマグカップで約3杯)まで、カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は300mg(同約2杯)までとしている。しかしながら、カフェインは「耐性」(繰り返し摂取することで体が反応しにくくなる)も生じ易く、カフェインの感受性には個人差もある。

 カフェイン依存症と混同されがちなものに「カフェイン中毒」がある。「依存」は継続して摂取することで起きるが、「中毒」は一度に大量のカフェインを摂取することで起き、過度な心拍数の増加や不整脈などの循環器症状、呼吸困難や胸痛などの呼吸器症状、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状、振戦や痙攣、不安、不眠、興奮、強い覚醒効果による幻視や幻聴などの精神神経症状などを招き、死に至ることもある。実際に2015年12月、福岡県で20代男性がカフェイン中毒で死亡したケースもある。

「過去の致死例から、1回のカフェイン摂取量が5~10g以上、もしくは血中濃度が200μg/ml以上で死に至る可能性があることがわかっています。しかし、この量をコーヒーやエナジードリンクで摂取しようとすれば相当な量となり、ほぼ不可能だと思います。普通にカフェインを摂る分には、精神的にも身体的にも特に大きな問題になることはありませんが、適量を心がけることが大切ですね」

 コーヒーや清涼飲料水に含まれるカフェインは非常に身近なものだが、摂取には十分注意してほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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