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画面のなかの粗い映像に、中年の男の顔が浮かんでいる。ふたつの瞳は画面を食い入るように見つめ、せわしなく動く口元からこんな言葉が発せられる。
「服を脱いで胸を見せて」
画面の枠の外にある右手の不穏な動きを、わずかに揺れる肩と影が克明に伝えてくる。男が画面越しに語りかける相手は、ピンク色のカチューシャをした「偽物の」少女だ。
これは、映画『SNS -少女たちの10日間-』のワンシーンである。
本作は、SNS上での児童虐待の実態を探るべく、オーディションで集まった18歳以上の幼い顔立ちの女優3人に12歳の少女を演じさせ、SNSで”友達募集”をする、というチェコ発のドキュメンタリー。
SNSでのチャットやビデオ通話はもちろん、ストーリーの後半では実際にコンタクトを取ってきた成人男性と対面。彼らがどのように子どもたちを「食い物」にしているのか、その手口からやりとりまでを捉え、実際の刑事手続きのために警察から映像提供を要求されたほどの衝撃作だ。
はじまりは、巨大な撮影スタジオに設置された3つの子ども部屋。部屋の真ん中では、ローティーンになりきった女優たちが眉を寄せてPCの画面を眺めている。
彼女たちが向き合うのは、インターネットを通じて子どもたちに向けられる、滑稽で禍々しい欲望の数々だ。
