NEW
松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

兵庫県知事選、自民党“分裂”で混乱極める…20年君臨の井戸知事が不出馬

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

兵庫県内に勢力を拡大する維新の会を井戸知事は警戒

 井戸氏については、兵庫県からの人口流出が10年にわたり続いていることなどから、「ムラ社会での調整能力はあるがポジティブな政策に乏しい」(地元企業関係者)との批判がつきまとってきた。西日本最大の都市である大阪が隣にある以上、やむを得ない面もあるが、兵庫県への勢力伸長を企てる大阪維新の会への警戒感は井戸氏以下、並々ならぬものがあった。

 19年の統一地方選では日本維新の会の公認候補18人のうち、17人が当選し、前回の10議席から党勢を拡大した。同年の参院選でも日本維新の会の元朝日放送アナウンサーの清水貴之氏がトップで当選するなど着実に支持を集めており、危機感は一層高まっていた。

 そもそも井戸氏と大阪市長で大阪維新の会代表の松井一郎氏の不仲ぶりは有名で、「東大出で官僚上がりの井戸氏からすれば、松井氏はポッと出のチンピラ。上手くいくはずがない」(兵庫県庁幹部)のも納得だ。井戸ヨイショで固められた県幹部としても「大阪のようにかきまわされるのはごめん被りたい」との防衛本能が働き、選挙にも身が入ってきた。一方の維新からしても、地方自治改革を唱える以上、井戸氏は「ムダと惰性の地方政治の権化」としか写らなかった。

斎藤陣営、SNS活用で若手をターゲットに

 そんななか、自民党の新会派と維新の会が政策協定するとの報道が流れるなど風向きが変わってきた。自民党県議団という最大会派から飛び出した新会派からすれば、少しでも知事選への協力を取り付けたい。たとえそれがかつて敵視していた維新でも、である。一方の維新にしても、斎藤氏は松井氏と吉村洋文大阪府知事に大阪府財政課長として仕えた旧知の仲であり、兵庫県内に勢力を伸ばすにはこれ以上ないチャンスだ。

 兵庫県選出の国会議員の間からは「これを機に自民党の勢力が切り崩されるのは避けたい」との懸念も上がるが、先の石川氏は「知事になったら是々非々でやってくれと斎藤氏には言っている」と強気を崩さない。以下は石川氏の弁。

「斎藤氏はあくまで自民党からの推薦で出馬したと明言しており、維新からの過度な要求を飲むということはありえません。政策にしても方向性が一致すれば協力するという話で、意志決定のすべてにおいて維新が関与するという話でもないという点は強調したいと思います。

 今回の選挙戦は地盤も看板もなく、とにかく“ないないづくし”の選挙です。厳しい闘いになるのはわかっていますが、金看板の自民党県議団を割って出た以上、退路を断って冷や飯を食う覚悟はできています。これからの兵庫県政を考えたら、金沢氏ではトップは務まらない。コロナ対応で40代の若手の首長が注目を集めており、勝ち目はあると考えています」

 斎藤氏の陣営はSNSなどを活用し、若手をターゲットとした選挙戦略を展開していくという。

 権力は必ず腐敗する。井戸県政20年のすべてが否定されるべきではないだろうが、弊害が大きかったことは否めない。新しいリーダーの下で兵庫県がどのように変わるのか。7月の投開票日に向けてどのような選挙戦が展開されるのか、注目したい。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

兵庫県知事選、自民党“分裂”で混乱極める…20年君臨の井戸知事が不出馬の画像2●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは@kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

処女作「日本が食われる」(彩図社)が好評発売中!

兵庫県知事選、自民党“分裂”で混乱極める…20年君臨の井戸知事が不出馬の画像3

情報提供はこちら

RANKING

11:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合