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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

「出生率」の知られざる現実…東京都の一部で出生率上昇という事実から学ぶべきこと

文=小黒一正/法政大学教授
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 小泉政権以降、都市再生特区の政策などにより、都心の高層ビルや湾岸部のタワーマンションが次々に建設され、ファミリー向けのマンションも供給が増加。都心4区(千代田・中央・港・江東)の人口も増加した。このため、数年前、これらエリアでの小学校や保育所の不足が話題になったが、これら政策が冒頭の中央区などの出生率増に寄与した可能性がある。この事実は、地方創生で東京一極集中の是正を行えば、出生率が上昇するという一種の「神話」に関する再検証が必要なことを意味する。

 また、育児と仕事の両立を図るためには、保育所における待機児童の解消を速やかに行う必要がある。この視点では、保育所(厚労省所管)のみでなく、幼稚園(文科省所管)や認定こども園(内閣府所管)も一体的に管理し、子育てしやすい都市構造をどう我々が創造するかということのほうが重要である。

 菅義偉首相が「子ども庁」創設の検討指示を出した今こそ、出生数の増加に向けた本当の議論が始まることを期待したい。

(文=小黒一正/法政大学教授)

●小黒一正/法政大学経済学部教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。

京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。

1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。内閣官房「革新的事業活動評価委員会」委員。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。

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