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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(4)

ANA、役員が夜の飲み会で“裏のCA採用活動”…超大量採用で客室業務サービス低下

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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⼤量採⽤、効率主義で教育が追いつかない

 ANAの平均勤続年数が約6年半と異常に短いことは、この連載中で繰り返し指摘してきたが、基本的に社員の離職率が高い会社はノウハウが蓄積されない。元から平均勤続年数が短いANAに大量のCAが入社してきたら、教育もままならないだろう。

 ところが、ANAでは「効率性重視」の掛け声の下、2018年4月から新卒CAが国内線と国際線を同時に飛ぶように教育フローが変更されたという。連載2回目でも指摘したが、国際線では時差の問題や乗務時間が長いことによる体への負担が国内線よりも大きい。基本的な業務すらままならない新卒CAには荷が重いのはいうまでもない。

 JALのCAは入社後1年は国内線を担当し、タイムマネジメントや基礎を学び、仕事の要領をつかむ。この後、国際線のエコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスと進む。ファーストクラスの担当は入社4年目くらいで担当するという。確かにこれだと順当に業務を⾝につけた上で時差など体調⾯での慣れもつくので、新卒としては順当な成⻑が⾒込めるというものだ。先のJALの現役CAは、乗客としてANA便に搭乗した際の印象をこう話す。

「明らかに新人のCAに飲み物を頼んだら、片手で渡してきて、お客様に両手で渡すという基本中の基本も教育されていないんだなと思いました。ANAの場合、国際線のステイが1泊と時差ぼけがとれないため、国際線で空酔いしたり、ご飯が食べられなくなっているのを見て可哀そうに思いました」

 この様子では、緊急事態が起きた時の保安業務など満足にできるはずがない。ANAの現役パイロットは現状をこう嘆く。

「昔はそれなりのプロ集団だったので、満席でも20分あればお飲み物提供のサービスは終了していたが、今は大量採用と平均年齢が低くなったこともあり、30分かけてもサービス終わるかどうかといったレベルに落ちています。個人のスキルの低下と素人化、客室本部の無理なサービス内容などが理由でしょう」

もっと顧客の安全に配慮した⼈材育成を

 ANAのこの国内線、国際線の新人CAへの同時並行訓練は現場からの大不評もあり、20年4月から入社当初の訓練は国内線のみに戻ったという。ただ、筆者がこれまで指摘してきたように、サービスの煩雑さ、機種の多さ、勤務のきつさにより疲労が増加する環境は変わっておらず、サービスの質だけでなく保安要員としてのCAのスキルが向上するはずがない。

 これまでANAがCAの見た目を重視している現状を紹介してきたが、保安要員としての教育が「効率主義」の名の下、ろくに検討されていない実態がうかがえる。この連載で繰り返し指摘したように、CAとはサービス要員であるとともに、保安要員でもある。ANAの経営幹部は表面的なイメージアップを図る前に、顧客の安全にもっと配慮した人材育成を真面目に考えるべきだろう。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

ANA、役員が夜の飲み会で“裏のCA採用活動”…超大量採用で客室業務サービス低下の画像2●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは@kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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