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ヤフーは一気に勝負に出た。岩田社長の再任に反対しただけでなく、独立役員の社外取締役3人の再任にも反対した。19年8月2日の株主総会でアスクル株の45.1%を持つヤフーとアスクルの出身母体で11.6%を持つ文具大手、プラスが再任に反対したのだから投票前から結果はわかっていた。
一連の強硬策は株式市場で大きな波紋を描いた。ZHDの親会社ソフトバンクグループの孫正義会長は、ヤフーの一連の手法に「反対」を表明した。見かけ上はヤフーの川邊健太郎社長はハシゴを外された格好となった。アマゾンジャパンと楽天が国内の電子商取引(EC)の2強。ヤフーを傘下に持つZHDがここに割って入ろうとしている構図だ。
「万年3位を返上し、2020年代にECトップになる」。ZHDの川邊社長は宣言している。川邊社長はZHDと事業会社ヤフーの社長を兼務している。川邊社長が孫氏から与えられた使命(ミッション)は、アマゾン・楽天を抜いてトップになること。19年にアスクル、さらにZOZOとEC企業を傘下に収めたのは、その一環である。21年3月にはLINEと経営統合した。
天下取りの戦略を描く1枚のカードがアスクルである。ヤフーは物流機能を持たない。アスクルは「明日来る」の言葉通り、1990年代からスピードを重視して、全国各地に拠点を構えた。ヤフーが狙ったのはアスクルが全国各地に整備している物流拠点だとみられている。
ヤフーとアスクルの一体経営は相乗効果をもたらした。アスクルの株価が上昇し、「プライム」市場入りを果たせば、望外の成功となろう。
(文=編集部)