福岡では知られた店も、40年前の東京では無名のブランドだったが、世田谷での成功で全国区となったのだ。なぜ、長年にわたりお客さんが支持しているのだろうか。
「時代によって多少の浮き沈みはありましたが、ロイヤルらしさを感じていただくお客さまのご支持を受けたと考えています」(同)
「大衆」に満足を与える「高級専門店」を目指した
競合とは一線を画す「ロイヤルらしさ」について、城島氏はこう続ける。
「江頭創業者が目指したもので、(1)すべてにきちんとしていること、(2)本物を知っていること、(3)本物を現場で実現すべく努力することです。たとえば、(1)は飲食の味だけでなく従業員の身だしなみや接客、(2)と(3)には世界各国の料理を紹介する期間限定フェアがあります」
取材時は「オマール海老&ステーキ フェア」(3月上旬~7月上旬予定)も開催されていた。オマール海老は、カナダ東海岸やプリンス・エドワード島から届いた高級食材だ。

(写真提供:ロイヤルホールディングス)
各国の料理を紹介した最初は1974年の「ハワイアンフェア」で、「夏のカレーフェア」は1983年から続く。同社の従業員にとっても、それぞれの思い出が残る。
ロイヤルHDの吉田弘美氏(経営企画部コーポレートコミュニケーション担当部長)は「ロイホとカレー」について、こう説明する。
「『暑い国発祥のカレーで夏を元気に過ごしてほしい』という思いで夏季にカレーフェアを実施。過去に提供したカレーの数は160種類以上になります。個人的には、学生時代に宮城県仙台市の店舗でアルバイトをしましたが、当時販売された『グリーンカレー』が、ココナッツミルクの強い香りで衝撃的でした」(同)
江頭氏と身近に接してきた城島氏は、こう続ける。
「創業者は、『大衆に満足を与える高級料理店を志向する』を掲げ、手の届く価格で質の高い料理を提供するために料理人の育成にも力を入れたのです。また、『サービスが良くて、料理がおいしくて、本当にくつろげる空間を提供する』という3本柱も大切にしました」
上記の3本柱は、飲食業界で求められる「QSCA (Quality=品質、Service=サービス、Cleanliness=衛生、Atmosphere=雰囲気)」にあたる。