ロイヤルデリはロイヤルHDが注力する成長事業で、2020年第一四半期に比べて同年第四四半期の売り上げは6.6倍に拡大した。ECのほか、ロイホ各店でも大型冷凍庫で販売されている。関心は高く、馬事公苑店視察時も来店客が入れ替わりで冷凍庫の品物を見ていた。
その光景を見て「カフェにおけるコーヒー豆」をイメージした。筆者が取材する人気カフェでも、店のコーヒーの味に気に入ったお客が、200gの豆や1杯取りのドリップパック(個別包装)を買っていく。ロイヤルデリも持ち帰りの定番に育てるのが理想だ。
双日との提携で何が変わるか

バランスのとれた経営で知られたロイヤルHDの2020年12月期の売り上げは、非常に厳しかった。主力の外食事業やホテル事業(代表ブランドはリッチモンドホテル)、機内食事業などがコロナ禍の移動自粛・制限で軒並み影響を受け、全体の連結売上高は843億400万円(対前年比60%)。外食事業は同462億5400万円(同73.9%)と、大幅に落ち込んだ。
業績悪化を受けてロイヤルHD経営陣が動き、2021年2月に総合商社の双日と資本業務提携を行った。第三者割当増資や新株予約権の発行で、双日がロイヤルHD株式の約20%を握った。
両社は「共同プロジェクト統括室」を新設し、今後の活動の実務面を詰めていくが、双日との提携でロイヤルホストの何が変わるのか。関係者は「物流や購買の改革という横軸で連携が進み、既存データの共有や事業間の連携も深めていきたい」と話す。コロナ以前から店舗運営の効率化には積極的で、物流など来店客から見えない部分での効率が進みそうだ。
最後に、ロイヤルホストの今後を予想したい。まず「上質感」は大切にするだろう。一時は381店(1999年末)あった店舗数も徐々に絞り、一定規模の店舗数で運営するはずだ。ちなみに2020年からのコロナ禍でも、客単価は対前年比110%前後で推移してきた。
収容人数に影響する座席の間引きを考えると、客単価をさらに高めたい。カギを握るひとつが、ロイヤルデリだ。ロイホ店内に設置された同商品はショールーム展示品にも思える。ECでも販売するが、持ち帰りできるロイヤルデリの購入が増えれば、客単価を押し上げる。
「ファミリーレストラン」という業態は日本特有のようだが、家族や友人・知人と楽しめる外食店は世界共通だ。筆者は巣ごもり消費も取材してきたが「コロナが落ち着いたら、外でゆっくり食事をしたい」という願望は強い。その時に選ばれる店=ロイヤルホストとなるか、だろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)