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和歌山市、ツタヤ図書館に関する公文書を隠蔽か?8カ月間も議事録なし、追及され逆ギレ

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

不祥事や疑惑に関する記録が一切なし

 しかし、ほかのツタヤ図書館で問題になったことを和歌山市では、どのように対処しているのか、ひとつずつ確認していく地道な作業のなかで筆者は、不可解としか言いようがない事態に次々遭遇したのだった。

 それは、「官民連携」の象徴とされている“ツタヤ図書館”においては、なぜか市民が知りたい重要なことほど、それを決定するにあたってCCCと協議した記録が、きれいさっぱりなくなっていることだ。

 下の表は、昨年6月の同館のグランドオープン以降に、筆者が確認できた和歌山市民図書館のオペレーションにかかわる疑惑・不祥事の一覧である。

2019年12月 図書館カードの個人情報不安 12/19から貸出返却のみ可能な仮オープン時に配布されたTカード機能付図書館利用カードの説明書には、「カード作成するとダイレクトメールや営業電話がかかってくる」旨が明記されていたことがSNSで話題になった。
2020年6月 ICタグ未装備事件 利用者が窓口を経ずにセルフで貸出ができる自動貸出機の読み取り方式がICタグではなく、バーコードからであることが判明。
2020年7月 独自分類騙し討ち導入事件 当初「2階5万冊」のみ導入するとされていたCCC独自のライフスタイル分類が「2階7万冊」と大きく増えたうえ、4階児童書コーナーにも導入されていたことが開館直後に発覚。
2020年7月 タウンワークパート求人社名不記載事件 和歌山市民図書館のスタッフの求人広告に会社名を明記せず、あたかも市の直接雇用のごとく「和歌山市民図書館」としてCCCがパートタイマーを募集していた。
2020年7月 審議会委員人事のCCC関与疑惑 2018年3月から図書館協議会(翌年12月からは図書館審議会)に選任された委員がCCCから送り込まれた人物ではないかとの疑惑が浮上。
2020年9月 イベント会場過密事件 9/2に4階・えほんの山コーナーで開催されたのイベントが過密状態になっており、「屋内イベント収容率50%以内のガイドライン」(当時の新型コロナウイルス感染症対策)に違反しているではないのかとの疑惑が浮上。他のイベントでも、定員100名のところ60名と、最初から基準を超えた人数を入れていたことが発覚。
2020年10月 スタバ&蔦屋書店・激賃料問題 世間相場では、どんなに安くても月300万円はくだらないと言われる駅前一等地にある図書館のスターバックス及び蔦屋書店の家賃(行政財産の目的外使用料)が、月額19万円であることが判明。
2020年12月 こども食堂イベント写真掲載事件 地元団体の支援を得て、CCCが市民図書館内で主催したこども食堂のウェブサイト上の告知に、同じ団体が他で開催した際の参加児童の顔写真がぼかしなしに掲載されていた。CCCは「事前に許可を得ているため特に問題ない」と回答。
2021年2月 司書資格者率激減問題 2019年3月末の直営時代は、司書有資格者が37名中32名で有資格率88%だったが、CCC指定管理になった2020年6月末には77名中26名と有資格率33%までダウンしていたことが判明。
2021年3月 読めない開業準備報告書提出事件 和歌山市がCCCに約1億円をかけて新図書館への移転業務を委託。その開業準備報告書が情報開示請求によって開示されたが、そのなかで「配架スケジュール」として掲載されていた図が不鮮明で、記載内容が読めなかったため、担当部署に問い合わせると「うちでも読めないんです」と回答。和歌山市は、1億円払ってCCCから読めない報告書を受け取ったことになる。

和歌山市ツタヤ図書館不祥事・疑惑一覧~運営・サービス編~

 

 これらは一切、ほかのメディアで取り上げられていない。蔵書へのICタグ不装備、独自分類の児童書への騙し討ち導入、相場の15分の1以下という店舗(目的外使用)の激安賃料、司書資格者の激減、パート採用求人広告の社名記載違反、新型コロナウイルス対策のガイドライン違反など、1年足らずのうちに次々と発覚した疑惑や不祥事は、文字通り枚挙にいとまがないほどである。

 信じられないことに、これらの詳しい経緯について和歌山市は、なんの記録も残していないのだ。

 一例を挙げると、独自分類の騙し討ち導入がある。当初はCCC運営の他館で、「探しにくい」「体系だっていない」と批判を浴びたツタヤ図書館独自の“ライフスタイル分類”を、和歌山市では「2階5万冊のみ」に導入する予定だった。3階の専門書や4階の児童書等については、一般的な図書館と同じNDC(日本十進分類法)のままとされていた。

 ところが、開館してみると、その対象が2階7万冊と大幅に増えているうえ、4階児童書はすべて、CCC独自のライフタスイル分類と同じ方式で分類・配架されていることが判明。「約束と違うでのはないか」と担当部署に問い合わせると、「4階はライフスタイル分類ではなく、市とCCCが話し合って決めた新しい分類だ」と釈明。だが、その体系についての情報は、CCCの許可がないと出せないと言う。

 また、当初は全蔵書50万冊に自動貸出機を利用する際、瞬時に本のデータを読み取ることが可能になるICタグを装備するとされていたが、これまた開館してみたら、ICタグは未装備だった。自動貸出機では、スーパーのセルフレジと同じようにバーコードで1冊ずつ読み取る方式であることもわかった。これも「費用が高いのでやめた」というだけで、その間の見積もりや協議内容のプロセスは一切わからないままだった。

 加えて、図書館内の一等地をCCCが和歌山市から借りている蔦屋書店とスターバックス
の賃料は、世間相場なら月300万円は下らないといわれるなか、月19万円と特別優遇さ
れていることも判明。さらに、CCC運営になってから司書資格者が直営時代の半数以下ま
で激減したことも、筆者の調査によってわかった。だが、そのことをCCCと話し合ったプ
ロセスはどこにも記録されていない。

 少なくとも、ICタグ装備中止や独自分類導入などについては、市教委の担当部署が開館前からCCCと定例会で綿密に話し合っているはずなのだが、その時期の議事録がゴッソリないというのだから、そこには何か意図的なものを感じざるを得ない。いったい、なぜそこまで必死になって隠さなければならないのだろうか。

 次回、和歌山市民図書館が開館跡に噴出した諸問題について、詳しく迫っていきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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