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【日米首脳会談】日本は「成功」報道、米国と温度差…急にウイグル問題が注目される裏側

文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト

日米首脳会談、背景にあるNSCAI報告書

 このウイグル人の認識を変化させる実験を中国共産党は行ってきたのだが、その技術の中心となっているのが、AI、半導体、5G通信技術である。

 今年3月、元グーグルCEOであるエリック・シュミット氏が率いるAIの国家安全保障委員会(通称:NSCAI)が、バイデン大統領と米議会に756ページにわたる報告書を提出した。

 そこで指摘されていることは、米敵対勢力が機械学習、ターゲティング、検索結果最適化技術を利用して、市民の信念や行動を外部から検出できない方法で操作するシステム開発が勢いを増す見込みであるということにある。

 もっとも懸念されるのは、敵がAIを使用して大規模な影響力のあるマインドコントロールシステムを構築し、将来の戦争が発生した際には、すべての市民と組織が潜在的な標的となるという見通しである。

 潜在的な敵対勢力は、ソーシャルメディア企業を通じて取得したビッグデータを通じて、AIにより強力なターゲティングツールを構築している。機械学習は、サイバー攻撃キャンペーンのすべてのフェーズにわたって、顕在および潜在的なアプリケーションとなっていることが指摘されている。

 拙著『米中AI戦争の真実』でも詳しく解説しているが、中国が米国から移転してきたAI技術によって、ウイグルだけでなく世界中の人々をマインドコントロールに陥れるリスクが、すでに発生しているということだ。

台湾TSMCと解放軍

 ところが、報告書で「米政府はAI戦争への準備ができていない」と警鐘が鳴らされ、中国が大量に台湾からチップを調達できているにもかかわらず、米国はチップ不足に喘いでいるのが現状だ。

 高度なAI解析は最先端半導体チップが必要だが、米国には半導体が台湾から納品されていないのである。

 それだけでなく、台湾大手半導体製造TSMCのファンドが出資した、台湾に本社を置くAIチップ製造企業「世芯KY」が人民解放軍のミサイル弾道経産のスパコン用チップ設計を行い、TSMCが製造していたと報道されている。

 米半導体製造の6割は台湾に依存しており、TSMCが米企業への納品を遅らせているために、米国は来るAI戦争への準備ができていないと警鐘を鳴らされている。

 米国政府はこれまで台湾を親米と認識してきたが、それも台湾経済界を牛耳る外省人や半導体企業らがネット上で親米反中プロパガンダを流し続け、米政府の認識を誤らせてきたためである。

 コグニティブ・ウォーで認識を誤ったことが、台湾が中国への抜け道となっている現実を盲点とし、中国のAI技術が米国を抜いてしまう事態を招いた。

 そして、この中国とのAI技術ギャップを埋めるには、これまで台湾に輸出してきた日本製とオランダ製の最先端半導体製造装置を禁輸にするよう両政府に求め、台湾が中国への「技術の抜け穴」として機能することを塞ごうというのだ。

『米中AI戦争の真実』 5G通信で世界のビッグデータ収集を企む中国はAI開発にも参戦、情報覇権を狙う。追い詰められたアメリカは量子コンピューターで起死回生を図れるのか?日本の技術力がAI戦争のカギを握る amazon_associate_logo.jpg