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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(8)

ANA、社員のSNSを監視、グループ内の投稿も…愚痴でも社員呼び出し、数時間も説教

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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SNSオフィサーという密告窓口

 しかし、素朴な疑問として、先のCAは身内のグループに投稿したにもかかわらず、ANAが本人を特定できたのはなぜか。LINEの中身がなぜか会社側に知られているケースもあり、なんらかの密告がANA側にあったと考えるのが自然だ。

 実は、ANAにはSNSに関する「不適切な投稿」を監視する専門部署「SNSオフィサー」が存在する。日常的な監視のほか、「匿名通報で情報提供者が不利益を受けない」というのが売りで社内に連絡先が周知されている。LINEをはじめ、社員がSNSで書き込んだ投稿をスクリーンショットするなどして送れば、冒頭の若手CAのように手が回り処分対象になるというわけだ。

 連載第1回目で書いた通り、ANAは2005年からそれまでのCAの乗務手当制度を変更し、評価者(班長や管理職)の評価による格付けによって乗務手当を決めるかたちに切り替えた。基本給も一部、能力給となっていて、上司の評価により同期でも賃金に格差が生じるシステムになっている。このため、「会社の管理職に気に入られたいばかりに同僚を売る人間もいる」(先の現役CA)といい、社内の風通しを悪くするだけだと社員の間では大不評だという。

 ANAのSNSに対する監視は3年ほど前から強まった。最近では、社員への業務連絡の内容がどんどん厳しく、かつ長文になり、具体的写真なども増えている。3年前の18年といえば、東京五輪直前でANAが中期経営計画を開始した年だ。ビッグイベントを前に企業のイメージダウンはなんとしても避けたい経営側が、締め付けを強化したとも考えられる。

会社のお墨付きの「自撮り動画」の配信開始

 そんなANAが今月23日、パイロットや整備士、CA、グランドスタッフ(地上係員)などが仕事の裏側や各地のおすすめ情報を発信するYouTubeチャンネル「BLUE SKY NEWS」をスタートさせた。第1回は「【ANAのCA1日密着】羽田空港での出社から退勤まで大公開」と題したCAの自撮り動画だ。この動画の主な内容は以下の通り。

・7年⽬の現役CAが、午前9時40分の⽻⽥発福岡便に搭乗

・本来の出社時間の午前8時40分より約1時間も早い午前7時50分に出社

・着替えで2種類の制服があることや、髪型について紹介

・搭乗前に休憩室や食事について公開

・実際に福岡便に乗り、午後3時に羽田に戻ってきた後、ソムリエなどの習い事もしていると自己紹介

・CAの仕事の第一は顧客の安全を守る保安要員と説明

・食事は便間が50分しかないので、各地で用意された弁当を食べる

 一つひとつ検証して行こう。

 まず、ANAのCAは定時より1時間早く出社しても、CAの組合の働き掛けがあったJALとは違い、超過勤務とは⾒なされずサービス残業扱いとなる。着替えの関しては、本連載5回目でご紹介したパジャマなどスーツケースの中身を見せることが視聴者へのサービスと勘違いしたオッサンのセクハラじみた感覚が依然として残っていると言わざるを得ない。