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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(8)

ANA、社員のSNSを監視、グループ内の投稿も…愚痴でも社員呼び出し、数時間も説教

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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 食事についても、50分の便間の時間があるときも、ゆっくりと食事ができるかのように説明しているが、「到着して乗客が降りるのに10分、25分前には次便の乗客の搭乗が始まり、その間に次便の準備などで、お弁当食べる時間は5~10分しかない。到着が遅れると その時間もなくなります」(ANAの現役CA)という。それに、清掃をした機内はほこりが舞うなど、食事をするにはあまりに不潔である。

 また、習い事の部分は、いつでも午前9時台の国内便で一往復して東京に午後3時には帰れるという、さも「華やかでホワイトな労働環境」というような印象を与える。ただ、ANAは⼊社直後から国内線、国際線に搭乗し、不慣れな状況で体調を悪くしながら働かせられている現状はすでに本連載4回⽬で指摘した通りだ。

 この動画は建前では「社員発信」の動画となっているが、社員の生の声が一番反映されるSNSを徹底的に監視し、愚痴や不満すら封じ込めようとする専門部署を置いている企業から発信される時点で、眉唾モノだと考えるべきだろう。

無給休暇中に立て替えた社会保険料を、復職後に天引きで強制返済させる

 ANAでは、本連載をSNS上でシェア、「いいね!」したりしても処分対象となるという。ジャーナリストとしてはまったく光栄なことだが、ANA側はそんなことにエネルギーを使うよりも、効果的なSNS広報戦略の策定や、風通しのよい労働環境を現場に提供できるように努力すべきだろう。同僚のSNS投稿を会社側に密告することがまかり通る企業で、まともな仕事ができるわけがない。

 筆者は連載第3回で、ANAのCAが妊娠した場合、すぐに会社に報告し無給休職を取得する選択肢しかないという時代遅れの制度設計を批判した。その後、情報提供により、なんと妊娠中に無給で休んでいる期間にANAが⽴て替えた社会保険料などを、復職後に給与天引きでANAに返済しなければならないという驚くべき事実が新たに判明した。SNSオフィサーといった社員監視に使う人件費とエネルギーは、こういう本来不可欠な福利厚生に充てるべきである。

 18年度からの中計で「足元をしっかり固め、未来へ動く」と宣言している以上、しっかりスローガンを実現していただきたいものだ。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

ANA、社員のSNSを監視、グループ内の投稿も…愚痴でも社員呼び出し、数時間も説教の画像2●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは@kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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