ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 井岡一翔「大麻疑惑」警視庁マークか
NEW

井岡一翔「大麻疑惑」、警視庁がマークか…JBCに隠蔽疑惑、検査陽性でも非公表の怪

文・構成=編集部
井岡一翔「大麻疑惑」、警視庁がマークか…JBCに隠蔽疑惑、検査陽性でも非公表の怪の画像1
井岡一翔公式Instagramより

 日本ボクシング界に疑念と動揺が広がっている。「smartFLASH」(光文社)は4月26日、記事、『【スクープ】覚醒剤成分が検出…井岡一翔「疑惑の尿」がJBCから消えた! 本人は「潔白」訴えるも再検査できない異常事態』を公開。昨年の大みそかに行われた、WBO世界スーパーフライ級1位の田中恒成(25)との防衛戦に8R・TKOで勝利した井岡一翔(32)から“違法薬物”が検出されていた疑惑があるというのだ。

 この話題は「デイリー新潮」(新潮社)でも26日、記事『井岡一翔に「マリファナ」「ドーピング」疑惑 警視庁から事情聴取を受けていた』で報じられた。「smart FLASH」の報道内容をまとめてみる。

 2021年1月7日、大みそかの試合前に井岡から採取された2つの尿検体のうちの1つ、A検体を日本ボクシングコミッション(JBC)がドーピング検査したところ、大麻が検出された。さらに詳しい分析をしたところ、1月19日に覚醒剤または合成麻薬の摂取が疑われる物質が検出された。ところが、JBCから違法薬物が検出されことに関して井岡側に連絡はなかったという。

 また従来、こうしたケースの場合、JBC理事長が倫理委員会を招集し、審議の結果を選手に通知することになっているが、同委員会は開かれなかった。選手に異議があれば、もう一つのB検体で再検査をし、陽性が判明すれば、処分を決定することになっているという。

 3月上旬に警視庁が覚醒剤取締法違反容疑で、JBCの検査機関に冷凍保存されていたB検体を押収。警視庁はJBCに「この件については、捜査を打ち切ることになった』と連絡し、警視庁によりB検体は使い切られたため、JBCの検証も不可能になったのだという。一連の薬物使用疑惑に関して、井岡の代理人弁護士は次のように「FLASH」編集部に回答したという。以下、引用する。

「大麻に関しては、セルフケアに使用していたCBDオイルの成分が検出されたのかもしれないと考えていますが、覚醒剤はまったく身に覚えがなく、試合後に検体がすり替えられた可能性があるとすら考えています。

 B検体を再検査すれば、必ず潔白を証明できるはずだと考えていますが、もしすでに尿検体が残っていないとすれば、井岡にはその機会がありません。一連のJBCの対応は、適正手続きを大きく逸脱しており、JBCに対しては疑念しかありません」(原文ママ、以下同)

 また前出「デイリー新潮」の記事では次のように主張している。引用抜粋する。

「井岡の弁護士は、週刊新潮の取材に以下のように回答している。

《警視庁(本庁)から井岡に連絡があり、知りうる事実を回答しております》《警視庁からは4月上旬、ドーピング検査の検体から大麻成分が検出されたと伝えられました》

 その上で、《警視庁から、捜査は終了した、との報告を数日後に受けており》、《井岡に対する嫌疑は既に晴れております》と結ぶ」

JBCの対応は的確だったのか?

 まず、この記事を読む中で浮かび上がるのはJBCの不可解な対応だろう。なぜJBCは陽性反応が出たことを、すぐ井岡に伝えなかったのか。東京都内の大手ボクシングジムに所属するC級ライセンス所持者のボクサーは次のように語る。

「FLASHの報道にある通り、世界戦タイトルマッチのドーピング検査で陽性反応が見られたのなら、倫理委員会の招集は必須だと思いますし、いきなり警視庁に検体を提出するというのもびっくりです。この件、大手ジムの幹部クラスは知っていたのかもしれませんが、私のような末端はまったく知りませんでした。井岡さん陽性の話も、JBCのよくわからない対応もちょっとショックです。

 対戦相手もあることです。日本のボクシング界が世界からどう見られるのかという話でもあると思います。少なくとも、ドーピング検査とその結果は、できるだけみんなに見えるようにする必要性があるんじゃないですかね」

 別の大手ボクシングジムの関係者は言いづらそうに「我々も驚いている。こういう報道の出方で世間に知られるということ自体、JBCの手続きに問題はなかったのか疑問だ」と話した。

 一方、厚生労働省関東信越厚生局のOBは同記事に関して次のように見解を語る。

「一般論ですが、薬物犯罪は基本的にブツ(証拠となる薬物)が容疑者本人やその自宅から押収できるかどうかが、最大の焦点となります。ちなみに大麻が体外に排出されるおおよその時間は、血液中だと336時間、尿中に30日間、毛髪で90日間とされています。他の薬物と違い大麻は体内残留時間が長いことが特徴です。

 今回のケースでいえば、3月に警視庁がJBCの検体を押収するまで、昨年の大みそかの採取から3カ月弱かかっています。あくまで仮定の話ですが、年末の時点で井岡氏が実際に大麻を所持していたとしても、もう手元には残っていないでしょう。ちなみにMDMA(合成麻薬)は血液中に48時間、尿中に4日、アンフェタミン(覚せい剤の一種)は血液中に12時間、尿中に3日というのがひとつの相場です。毛髪はMDMAもアンフェタミンも90日間です。

 1月19日にMDMAやアイス(覚せい剤)の陽性反応が出た際、JBCは早急に警視庁に通報したのでしょうか。仮に井岡氏が本当に覚せい剤を使用していたのなら、早急に通報すれば、警視庁が改めて再検査を行って陽性反応の証拠を出すことも、当人からブツを確保する可能性も高かったのではないかと思います。報道だけではすべて仮定の話にならざるを得ませんがJBCがどの段階で警視庁に通報したのか、気になりました」

 仮に一連の報道が虚偽であればJBCへの名誉棄損にあたる可能性もある。当編集部は4月26日、JBCに対して一連の報道の事実関係を確認するとともに、倫理委員会が開催されなかった理由などに関して質問状を送付した。30日午前、回答の可否を問うために再度、電話連絡をしたところ受付担当者は「緊急事態宣言の影響で担当者が事務所にいないのでわからない」と話した。回答があり次第、追記する。

 謎が深まるばかりの情勢だが、警視庁OBは井岡に関する今回の疑惑を次のように解説する。

警視庁OBの解説

 まず、検査で大麻が検出されたとしても即アウトにはなりません。大麻取締法には使用罪がないのです。被疑者からブツが出れば話は別ですが、ドーピング検査でマリファナの成分が出たと、警察に通報しても、そもそも使用罪がないので警察は捜査できないのです。

 報道によると、井岡氏は「CBDオイルを使っていた」と話しているようです。大麻を使ったオイルですので、確かに成分は検出されるでしょうし、それを接種することは違法ではありません。 

 今回の件では、再検査をしてみて別の違法薬物がヒットしたので、警視庁に連絡したのではないでしょうか。使用罪があれば、その時点で告発も可能ですが、JBCによる警察への連絡が遅れた理由のひとつではあるかもしれません。

 JBCも最初の時点で違法薬物の検出がわかっていれば、その時点で警察と相談していたのではないでしょうか。タトゥー問題(編集部注:昨年大みそかの田中恒成との対戦時に井岡の腕のタトゥーが問題視され、JBCは今年1月、井岡に対し厳重注意処分を下した)もあったので、JBCは井岡氏に対して良い感情は持っていないように見えます。わざわざ引き延ばしたというより、「大麻では警察に協力を求められなかったけれど、再検査で違法薬物が出たことで、警察に伝えようとなった」ということではないでしょうか。

薬物捜査は物証がものをいう

 今回のケースは、ブツがまったくありません。覚せい剤などの違法薬物が微量検出されたとしても、それで使用罪に問われるかというと現実的には難しいのが実情です。「何かに混入された」とか「寝ている間になにかされた」などと反論されると、公判維持が厳しくなるからです。

 例えば警察官が現場で職質し、「被疑者の態度が変だ」となった場合でも、すごく気をつけます。ブツが出た場合はもちろんのこと、採取する尿が「ちゃんと本人の体から出たものかどうか」「採取後にきちんと封印されているか」などに関して極めて慎重に取り扱います。JBCの検体の保存状況がどうだったのかはわかりませんが、警視庁は今回、証拠として公判に耐えられないと判断した可能性もあります。

 覚せい剤などの使用罪に問うためには、「いつ、どこで、本人が摂取したのか」という証拠が必要なのです。仮にブツは出てこなくても、注射痕があったとか、注射器が見つかったとか、炙りで摂取する際に使う銀紙が発見されたとか、そうした物証が必要になります。

 前に述べた通り大麻の使用罪はないので、ブツがでないかぎり難しいですし、使用が犯罪でない以上、他の状況がない限りガサ状(家宅捜索令状)も出ないでしょう。覚せい剤の成分が相当量出ていたのなら、ガサ状も取れたかもしれませんが、微量だと何かが混入したとか、保存状態が悪かったとか、反論される可能性もあり、難しいでしょう。

陽性反応が出たのになぜ逮捕されないのか

 週刊誌などの取材で、「芸能人や有名人は見せしめで逮捕されるのか」と聞かれるのですが、逮捕は警察であっても例外的な行為です。警察にとって、任意捜査が大原則です。逮捕は強制力の行使にあたるので、極力避けるという不文律があります。証拠隠滅とか逃亡の恐れがない限り、逮捕状は出ません。

 ではなぜ、指定暴力団の構成員が微罪でも逮捕されるのかというと、「組織内で口裏合わせをする」「被害者に対して威迫して口封じをする」といった証拠隠滅を図る可能性が高いからです。

 一方、芸能人や著名人の薬物事件では、ブツが出ているケースが大半です。当然、捜査する側は入手経路を探ることになるのですが、その際に任意だと「口裏合わせされる可能性」が高まるので、逮捕するのです。今回はブツが出ていないので、入手経路云々といってもなかなか難しいです。在宅で捜査を続けて、警察としてはやれることはやったということだと思います。

 気になるのは、井岡氏側の弁護士の談話の「警視庁の捜査は終了した」などと主張している部分です。「捜査の終了」はイコール「嫌疑は晴れた」ということではありません。

 それはあくまで警察での捜査が終了しただけなのです。一般論ですが、事件であれば、検察に全件送致します。「ガラなし」(身柄なし)つまり、逮捕はしないけれど書類送検をし、なんらかの意見を付して、地検の判断に委ねるということになります。まったく嫌疑なしということであれば、「事件ではない」ので検察に送らないという判断もあり得ます。いずれにせよ、警察はその点に関して公式発表をしていないので、現段階で一方的に「嫌疑が晴れた」と言い切ることに疑問を感じます。

 薬物犯罪に詳しい警視庁関係者に今回の件を聞いてみましたが、相場観として「CBDオイルを使っている」ということは、絶対、大麻の使用の経験はある』との印象を抱いていました。

 これは私の私見ですが、井岡氏は今回の件で確実に警視庁にマークされると思います。

(文・構成=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

井岡一翔「大麻疑惑」、警視庁がマークか…JBCに隠蔽疑惑、検査陽性でも非公表の怪のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!