世界の水資源の97.5%は海水などだ。淡水は全体の2.5%であり、河川など利用しやすい水は0.01%程度しかない。その一方で、気候変動の影響などによって水資源の不足は深刻化する恐れがある。2030年には全世界の水需要に対して、利用可能な水資源が40%不足するとの予測もある。

 安定した水の供給のために、海水の淡水化技術の重要性は増す。日本企業は海水の淡水化に用いられるフィルター(膜)市場で世界の50%程度のシェアを持つ。高機能の逆浸透膜の研究・開発を進め、省エネと高い水質の両立を目指している。

 それに加えてオルガノをはじめ日本企業に期待したいのが、濾過した海水からもたらされる高濃度の塩水の再利用技術の確立だ。すでに日本では排水の濃度を海水と同程度に薄める技術が開発されてきた。米国などではスタートアップ企業が塩を活用したエネルギーの貯蔵技術などに取り組んでいる。そうした次世代の技術と日本の水精製技術の結合は、世界の水ビジネスにさらなる変革をもたらすだろう。

 世界的に水ビジネスの重要性が高まる中で日本企業に求められることは、最先端の研究内容を積極的に生かして、より循環的な水の利用を目指すことだ。それは、日本企業が新しい水関連技術の創出によって世界的な水不足問題解決への貢献と、市場開拓を進めることを意味する。そうした観点から、日本企業がより積極的に新しい素材や水の精製技術を確立し、水不足に悩む国や地域の要請に応えていくことを期待したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

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